研究課題/領域番号 |
22K03092
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
山本 晃輔 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (60554079)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 嗅覚 / 自伝的記憶 / 嗅覚訓練 / 加齢 / 認知機能 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症高齢者の急増によるさまざまな問題は,わが国のみならず世界的にも公衆衛生上の重要な課題として認識されている。健常高齢者や軽度認知障害の段階からの頑健なエビデンスのある効果的・実用的な認知症予防プログラム開発は喫緊の課題である。近年,認知症研究で注目される嗅覚刺激訓練法は高齢者の認知機能改善に有効であることが示されている。しかし,その効果を高める最適条件や認知メカニズムは明らかにされていない。本研究では,高齢者を対象としたオンライン実験を行い,嗅覚刺激訓練法時における記憶想起に注目し,その認知メカニズムの解明を目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は記憶想起に注目した嗅覚刺激訓練法による介入を行い,それによって高齢者の認知機能が改善されるかどうかを検討することが主目的であった。具体的には,調査会社を通じてリクルートした健常高齢者50名(平均年齢= 69.50, SD = 3.33)を対象に,嗅覚同定能力検査キットであるOpen Essenceを1ヶ月の間隔を経て2回実施した。参加者の半数には日常的に嗅いだ匂いと関連する過去の出来事,すなわち自伝的記憶を毎日想起してもらい,それを1ヶ月間日記に記録するように教示した(記憶想起群)。残り半数の参加者はこのような日記を記録しない統制群であった。検査を行う前後と記憶想起を求めるか否かをそれぞれに独立変数,Open Essenceの正答数を従属変数として2要因混合実験計画を設計した。実験結果を分析した結果,事前事後要因と記憶想起の有無要因に関して交互作用が有意であり,統制群では事前と事後においてOpen Essenceの正答数に差がみられなかったが,記憶想起群では,事前から事後にかけてOpen Essenceの正答数が有意に向上した。この結果は,嗅覚刺激による記憶想起が嗅覚刺激訓練法と同様の効果を果たし,その結果として嗅覚同定能力が高まった可能性を示唆している。ただし,本実験では嗅覚刺激によって記憶が想起されない条件が設定されていないため,嗅覚刺激か,記憶想起のいずれがその影響を及ぼしたのかについては厳密に判断できない。そのため,今後は嗅覚刺激との接触はあるものの,記憶想起を行っていない群と他の群を比較することにより,記憶想起の影響をさらに詳細に検討する必要がある。この成果は次年度International Congress of Psychologyにて発表予定であり,すでに採択されている。その他,関連する研究発表も含め,2023年度の学会発表件数は計7件であり,その一部は学術論文としてJournal of Japan Association on Odor Environment誌などに計3編が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおりの実験を実施することができた。関連研究も含めて,学会発表7件であり,またその一部を3編の論文とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実験結果にもとづき,次年度では新たな条件を追加した嗅覚訓練法のオンライン実験を行う。また,成果の一部について積極的に学会発表,論文化を行う。
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