研究課題/領域番号 |
22K03102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
太田 豊作 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10553646)
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研究分担者 |
山室 和彦 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (60526721)
岸本 直子 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (90596743)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 自殺予防 / バイオマーカー / 自尊感情 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自殺リスクのある児童・思春期自閉スペクトラム症の自殺関連行動について脳科学の観点から検討を行い、その神経基盤の解明を試み、同時に自殺の保護因子のひとつと想定される自尊感情との関連も検討することから、自殺予防に活用できるバイオマーカーを見出すことができる。そして、バイオマーカーと自殺リスクおよび自尊感情との関連を明らかとすることで、自殺リスクのある者に対して自尊感情を高める介入を行い、その変化を検討するというような前向き研究への足掛かりとなる研究である。
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研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的コミュニケーションおよび社会的相互作用の障害と、行動や興味の限局的・反復的なパターンを中心症状とする神経発達症で、これまでの報告では7.2~12.8%に自殺企図歴が認められる。ASDの自殺企図においては、長年にわたる対人関係構築の失敗の繰り返しによって自尊感情が著しく低下していることが指摘されている。一方、脳画像研究から、自殺関連行動と前頭側頭葉の構造異常および機能異常が指摘されており、ASDにおいても自殺関連行動と神経生物学的異常が関連している可能性がある。 そこで、10歳以上18歳以下の自傷・自殺企図歴のあるASD患者15例と自傷・自殺企図歴のないASD患者20例に対して、安静時脳波、事象関連電位、近赤外線スペクトロスコピィ(NIRS)での評価とともに、コロンビア自殺重症度評価尺度と精神疾患簡易構造化面接法のモジュールCを用いて現在の自殺リスクを評価し、日本版Coopersmithの自尊感情尺度とローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版での自尊感情の評価を行った。この結果、自傷・自殺企図歴の有無に関わらず、精神疾患簡易構造化面接法のモジュールCでの現在の自殺リスクとローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版のスコアに負の相関が認められた。言語流暢性課題によるNIRSの重心値と自殺リスクには弱い正の相関が認められたが、その他安静時脳波、事象関連電位およびNIRSについての各変数の相関や群間差などは統計学的有意性が認められなかった。 ASDにおける自殺リスクと自尊感情の関連は、指摘こそされてきたが明確に十分な検討はされてきていないため、非常な重要な所見と考えられる。また、小児期ASDにおいてもNIRSの重心値は自殺リスクを評価できる可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度にCOVID-19の影響によって被験者のリクルートが難航したことによる遅れであり、2023年度は概ね計画通りに進められた。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染症に対する考え方にも変化があり、これまで研究への同意が得られなかった患者についても改めて研究への協力を要請しており、実際に同意が得られる頻度は向上している。また、定型発達の児童・青年についても募集用のポスターを作成し、研究への協力を要請しており、順次検査・評価を行っていく。
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