研究課題/領域番号 |
22K03124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
遊間 義一 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70406536)
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研究分担者 |
金澤 雄一郎 国際基督教大学, 教養学部, 特任教授 (50233854)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 犯罪の特殊・固定化と一般化 / 性犯罪受刑者 / 改善更生プログラム / 縦断研究 / 犯罪の特殊・固定化 / 犯罪の多様化 / 生存分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,2012年からの3年間に日本全国の(少年)刑務所を出所した性犯罪受刑者約2,000名の出所後3年間の再犯状況に関する追跡データを用いて,彼らが特定の形態の(性)犯罪だけを繰り返す傾向(特殊・固定化)が強いのか,様々な犯罪を行う中の一つとして性犯罪を行う傾向(多様化)が強いのかを検証する。本研究の結果,a)もし特殊・固定化している(下位)集団を見いだすことができれば,彼らに焦点を絞った働きかけをすることが有効と考えられ, b)もし,多様化傾向が強いことが分かれば,働きかけは,性犯罪だけに焦点を当てたものではなく,犯罪行為全般を対象とした介入が効果的であるとの提言が可能となる。
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研究実績の概要 |
2022年度は,矯正統計年報や犯罪白書の統計を用いて,罪名ごとに受刑者の犯罪の特殊・固定化と多様化を検討した。まず,2006年から2020年までの矯正統計年報により男子受刑者の再犯状況からFarringtonのThe forward specialization coefficient (FSC;特殊化係数)を罪名別に算出すると,窃盗と覚せい剤でFSCが大きく(平均0.57,平均0.64),強制わいせつと強制性交で小さいことが分かった(平均0.26,平均0.12)。さらに,昭和63年版犯罪白書を用いて,前科10犯以上の者における初犯時と第2犯時の罪種に基づき,FSCを計算すると,粗暴犯,財産犯及びその他でFSCは,それぞれ0.42,0.73,及び0.60となった。このことは,①罪名ごとに特殊・固定化傾向が異なっており,窃盗と覚せい剤で強く,性犯罪で弱いことを示していると同時に,②犯罪を繰り返す者は,初犯の段階から,特殊・固定化傾向が強いことをも示している。これらの結果は,日本犯罪心理学会大会で発表した。 次に,上記日本の受刑者の統計と,1989年のイングランドの有罪者の統計により,粗暴犯,性犯,窃盗(Burglary, Theft),及び詐欺のFSCを比較すると,日本はそれぞれ0.18,0.26,0.57,及び0.44であるのに対して,イングランドは,0.15,0.45,(0.21,0.14),0.27となり,性犯はイングランドのほうが大きく,窃盗及び詐欺は日本のほうが大きいことが分かった。国・地域による差が何に由来するのか,今後の研究課題である。これらの結果は,アメリカ犯罪学会大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,2022年度に性犯罪受刑者の個別の追跡データの解析を行う予定であったが,対象となる標本が日本全体の犯罪者や他国の犯罪者と比較してどのような位置づけにあるのかを知る必要があるとの認識から,公式統計によって算出可能なFarringtonのThe forward specialization coefficient (FSC;特殊化係数)を日本及びイングランドについて計算し比較を行った。 以上より,現状は,当初の計画からはやや遅れている。本年度は,当初の計画にペースに戻すために,個別の追跡データを用いて,Coxの生存分析及び生存関数に仮定をいれたパラメトリックな生存分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,矯正局成人矯正課及び矯正研修所から提供を受けた,2012年からの3年間に日本全国の(少年)刑務所を出所した性犯罪受刑者約2,000名の出所後3年間の再犯状況に関する追跡データを用いて,受刑者の犯罪の特殊・固定化と多様化を検討する。2022年度の研究で全体としての傾向は把握できたので,2023年度は,受刑者の個別のデータにより,個々の受刑者の再犯要因の違いを考慮したうえで検討を進める。具体的には,Coxの比例ハザード・モデル及びパラメトリックな生存分析の手法を用いて,再犯の継起だけでなく,再犯期間も考慮し,さらに再犯予測ツールで測定された再犯リスク,実際に行われた再犯防止プログラムの密度等を考慮したうえで,性犯罪の再犯のパターンがいくつかの質的に異なる類型に分類されるのではないかという仮説を検証する。もし,再犯のパターンが異なるいくつかの下位類型が見いだせれば,個々の類型に最適な再犯防止プログラムの与え方(密度,期間等)に関する提案ができるものと期待される。
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