研究課題/領域番号 |
22K03133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
谷本 拓郎 京都光華女子大学, 健康科学部, 講師 (50908358)
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研究分担者 |
畑野 快 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (50749819)
浦田 悠 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 特任准教授(常勤) (90553834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マインドフルネス / 現代ヨガ / 補完代替療法 / ジャーナリング / 非行少年 / 自己受容感 / セルフコンパッション |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では,再犯率の低下に向けて,少年院等の矯正施設においてマインドフルネスの実施が推奨されている。しかし,マインドフルネスの実情は,一般青少年・成人を対象とした実践が大半で,非行少年を対象とした専門プログラムは整備されていない。加えて,自己受容感の側面を強調し,思いやりの意識を軽視するマインドフルネスの実施は,抑うつや攻撃等の心理的問題行動を抑制するどころか,助長する可能性がある。したがって,非行少年の問題改善が可能なプログラムは,直接介入的なプログラムを試行錯誤的に検討する必要がある。本研究では,矯正施設や児童福祉施設でのマインドフルネス介入法の考案と,その効果検証を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、それまでの実践で得られた知見を生かし、20代から70代の一般人に対して、マインドフルネス瞑想を取り入れた現代ヨガを指導実践し、指導の事前・事後で質問紙により心身の状態を測定することで、マインドフルネスの臨床的介入の効用について検証した。多様な種類の現代ヨガとマインドフルネスを組み合わせたところ、動作と呼吸を連動させる過程を通じて内受容感覚が深まり、心身のストレスと前向きな意欲・活動性にポジティブな影響を及ぼすことが示唆された。現代ヨガの種類に応じて、五感を通じた外受容感覚の気づきが異なり、心身への効果量が異なる点も示唆された。マインドフルネスやヨガの実践が普及している現代社会において、その実践手法による効果の差異に着目した研究はこれまでになく、意義があると考えられる。また、児童自立支援施設の在所児童に対して、日常的なマインドフルネス介入を実施し、日常実践による効果を検証した。2週間、実践する内容をカリキュラム化して集団指導を受けた上で自己実践するよう求めた。介入開始日・中間日(8日目)・最終日において対面指導を行った。マインドフルネス瞑想の実施方法だけでなく、グループでの対話による自己への気づきの共有、質疑応答の機会を設定し、適切な実践ができる工夫を行った。その結果、ストレスの低減や自己理解の増進が示唆された。被虐待や問題行動傾向等、多様な課題を抱える児童福祉施設在所児童を対象にマインドフルネスの指導実践を行い、対象児童らの心身の良好化を図る研究は我が国で前例がなく、重要であると思われる。 こうしたマインドフルネス介入等の研究成果は日本健康心理学会第36回大会、日本マインドフルネス学会第10回大会、京都光華女子大学研究紀要61において発表している。また、少年院、児童心理治療施設、児童福祉施設におけるマインドフルネス指導も継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の計画は、マインドフルネス介入プログラムの策定に向けて、予備調査を踏まえた実践研究を行うことであり、児童自立支援施設在所児童や一般人を対象とした介入調査を実施した点において概ね達成している。一方で、非行・犯罪傾向のある青少年を対象としたマインドフルネス介入とその効果検証は、調査対象施設との調整が円滑に進まず、実施できていない。本研究において、非行・犯罪・問題行動傾向のある青少年を対象に、心身の健康レベルを包括的に向上させる介入プログラムを考案・実践する目的を踏まえると、早急に具体的な実施に向けた調整が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究計画は次のとおりである。まず、少年院在院者を対象としたマインドフルネス介入(ジャーナリング)を実施して効果を検証し、成果を論文にまとめ、学術誌へ投稿する。次に、児童自立支援施設及び児童心理治療施設における問題行動傾向のある青少年を対象に、現代ヨガ・マインドフルネス瞑想・心理教育を組み合わせた介入プログラムを実施して効果を検証し、成果を学術学会で発表した上で学術誌へ投稿する。研究計画にやや遅れはあるが、大きな変更は必要なく、研究遂行上に大きな問題はない。
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