研究実績の概要 |
幼児期の社会情動的スキル(Social Emotional Skills 以下,SES)の育成には,感情理解,感情制御,対人葛藤場面での対処に必要な問題解決スキルの習得が不可欠である。本年度は,SESの発達及び問題行動と感情理解,感情制御,問題解決スキルの因果関係を明確化するために尺度の再検討を行った。 感情制御尺度として使用予定であった幼児用気質尺度短縮版は,項目内容の妥当性に疑問が残ったため,Emotion Regulation Checklist(ERC)(Shields, & Cicchetti,1997)を使用することにした。また,問題解決課題として挑戦的状況における問題解決課題(Denham, Bouril, & Belouad, 1994)を使用する予定であったが,保育園における活動場面との関連が不明であったため,Preschool Learning behavior scale(PLBS)(McDermott, Leigh, & Perry, 2002)を使用することにした。PLBSは,注意力,新奇性や修正への反応,観察された問題解決方略,柔軟性,反射性,自発性,自己指示性,協同学習を含んでいる。 保育者300名を対象として,感情調整, 学習行動と社会情動的コンピテンス及び問題行動の関連を検証した。保育者の年齢,年収,子どもの年齢及び性別を統制した相関関係を算出したところ,感情調整,学習行動(学習意欲,注意持続性,学習態度),社会情動的コンピテンス及び問題行動はそれぞれ関連していることが示された。 次年度は,複数時点での調査を実施することによって,T1時点とT2時点のそれぞれの変数の関連性を検証する。
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