研究課題/領域番号 |
22K03187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
藤原 直子 吉備国際大学, 心理学部, 教授 (10712276)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ペアレント・トレーニング / 少年院 / 保護者支援 / 少年鑑別所 / 職員研修 / 発達上の課題・困難 / 少年院出院者 / 保護者 / 支援者 / 発達障害 / 保護司 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、発達障害児の行動改善に効果が認められている「ペアレント・トレーニング」を、少年院在院者の支援者である法務教官、保護者、地域の保護司等に実施し、その効果を検証する実践研究である。 少年院には発達障害等の発達上の課題を有する者が在院している。少年院における矯正教育と共に出院後の支援も重要な課題で、発達障害等のある者は、特性への理解や支援が不十分、周囲との適切な関係構築が困難といった要因から再犯に至るケースもある。 本研究の実践により、教官、保護者、保護司といった支援者の少年に対する理解や適切な関わり方が促進されて少年との関係性が改善し、出院後の社会適応に効果を及ぼすことが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は,少年院に在院する発達障害等のある少年の「保護者へのペアレント・トレーニング」「支援者へのペアレント・トレーニング支援者版(応用行動分析を教授する研修)」を実施し,効果を検討する実践研究である。 2年目である2023年度は,法務省矯正局少年矯正課の協力を得て,(1)全国の少年院及び少年鑑別所から希望を募り,職員研修(ペアレント・トレーニング支援者版),(2)3つの少年院における保護者講習会を定期的に行った。
(1)職員研修を実施した19施設において,研修の前後に質問紙,研修終了後に満足度アンケートを実施し,研修の効果を検討した(分析対象190名)。研修前と研修後を比較した結果,教育に関する効力感に有意な上昇,特別支援教育に対する負担感の「やりがいのなさ」に有意な減少,行動理論に関する知識を測定するKBPACの得点に有意な上昇が認められた。研修後のアンケートでは,「研修のわかりやすさ」「参考になった」「また参加したい」といった項目が高い評価であった。自由記述では「役に立ったこと」「詳しく知りたいこと」「今後の研修に対する意見や要望」といった情報を収集できた。 (2)保護者講習会を実施したのは,3施設であった。いずれも,保護者の参加可能性を考慮して1回で完結する内容とし,ペアレント・トレーニングに用いる「行動とは何か」「行動の見方・分析」「行動を変える関わり」といった要素を取り入れた。参加前後の評価はできなかったが,終了直後にアンケートを実施した。その結果,保護者の満足度は高く,「行動が起きるしくみ」や「行動は変えることができる」といった話は保護者に伝わり参考になったと考えられ,ペアレント・トレーニングの基本的な考え方や手法は少年院在院者の保護者にも適用できると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大により,一昨年完了予定であった研究課題(19K03303)を1年延長していた。本研究において初年度から実施予定であった法務教官への研修を実施する施設が重複していたため,初年度は少年鑑別所における調査を実施した。 したがって,2年目である本年度から少年院及び少年鑑別所における研修を実施し,その他の支援者である保護司等への実践は進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も,少年院及び少年鑑別所における支援者研修(ペアレント・トレーニング支援者版)を継続して実施する。 少年に関わる支援者の課題となっている支援者自身のストレスや認知についても,研修に取り入れる予定である。 さらに,在院少年と支援者の関係性や,少年の自己理解,将来に対する考え方等に焦点をあて,少年自身に対する心理教育について実施を検討する。 保護者に対しては,1年間通して計画的に実施していく。 2023年度の調査内容および研究成果について,関連する学会において発表し,学術誌への投稿も行う。
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