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加齢によるパラ言語情報の知覚変化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K03193
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10040:実験心理学関連
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

松井 淑恵  豊橋技術科学大学, 次世代半導体・センサ科学研究所, 教授 (10510034)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード模擬難聴 / パラ言語情報 / 音声 / 話者性 / 感情 / モーフィング / 聴覚 / 加齢 / 知覚 / パラ言語
研究開始時の研究の概要

音声が伝達する情報には、ことばとしては表現できるもの以外にも、感情や個人性などのように音声コミュニケーション上で重要な要素が含まれる。本研究課題では、音声モーフィング技術を用いてさまざまな強度の感情音声や、複数話者の中間音声を作成することにより、音声の感情と個人性の知覚特性を定量的に測定する。また、これらの知覚特性が難聴状態(とくに老人性難聴)によってどのように変化するかを予測する実験を実施する。

研究実績の概要

音声コミュニケーションにおいて比較的高い周波数帯域が媒介する情報には、言語情報だけでなく非言語情報も含まれる。たとえば、話者が異なる、あるいは発話者の感情が異なることで、声道形状が異なる。話者や感情による声道形状の違いは高周波数帯域(4-5kHz)に表れることが多いとされる。この帯域に対する聴力が加齢で低下することによって話者の弁別や感情の区別に影響が出るという仮説を立て、検証した。
話者弁別実験には、若年健聴者、高齢者、高齢者の聴力を模擬する模擬高齢者の3群が参加した。似ている話者ペアと似ていない話者ペアでモーフィング音声を作成し、変形上下法によって参加者ごとの弁別閾を測定した。モーフィング音声の作成にあたっては、基本周波数のみ、スペクトル包絡と周波数軸のみ、全パラメータをモーフィングする3つの条件を設定した。実験の結果、高齢者と模擬高齢者・健聴者の間に有意差がみられた。話者の弁別には聴力による影響は小さく、認知能力などの聴力以外の要因が関与している可能性が示唆された。ただし、聴力レベルによる群分けをしたところ、聴力損失の大きい群では高齢者群内の個人差が広がる傾向がみられた。
感情弁別実験にも、若年健聴者、高齢者、模擬高齢者の3群が参加した。怒りの音声と特段の感情表現がない平静音声をモーフィングし、参加者に弁別させた。以下の音声にはhot angerとcold angerの2種類を用意した。実験の結果、PSEでもJNDでも、参加者群の効果が有意ではなかった。老人性難聴は感情の弁別に影響をほとんど与えないと言える。その一方、PSEとJNDが算出できず分析から除外されたデータがかなりの数にのぼった。加齢によって感情の知覚がポジティブな方向に変化するという先行研究の結果を踏まえると、JNDとPSEを算出する前の状態のデータを見直す必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は、高齢者実験のための体制立て直しや、空調施設の工事による研究室の一時閉鎖のため、実験自体は予想より進まなかったが、2023年度は施設の拡充をした上で、複数の高齢者実験を実施することができた。学会発表には出していない実験データが多数あるため、これらは次年度に発表することで議論を深めたい。

今後の研究の推進方策

2023年度は、話者判断と感情弁別に関する高齢者実験を複数実施することができた。また、これらの実験以外にも、発話のニュアンスに関する実験や、発話者の評価に関する実験の予備検討も進めている。
2024年度は、前年度に実施した実験データの見直しと、前年度の実験で検討できていなかった要因(聴力のばらつき、高齢者の感情知覚特性)を考慮した実験を実施するための準備を進める。また、これらの実験に必要な音声の収録は引き続き実施する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 音楽トレーニングは音声知覚に影響するか2023

    • 著者名/発表者名
      松井 淑恵
    • 雑誌名

      日本音響学会誌

      巻: 79 号: 5 ページ: 270-277

    • DOI

      10.20697/jasj.79.5_270

    • ISSN
      0369-4232, 2432-2040
    • 年月日
      2023-05-01
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 周波数変調刺激音の聴取に対する発声の不随意応答:ノイズによるマスキングの影響の調査2024

    • 著者名/発表者名
      大森善博, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第151回(2024年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 聴力の変化が音声の弁別に与える影響: 模擬難聴システムと音声モーフィングを用いた検討2024

    • 著者名/発表者名
      森滉斗, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第151回(2024年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 老人性難聴が音声に含まれる感情の知覚に与える影響2024

    • 著者名/発表者名
      寺元麻稀, 森滉斗, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第151回(2024年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 私たちが声から読み取る性別情報: 日本語母語話者を対象とした性別弁別能の調査2023

    • 著者名/発表者名
      菅野 聖真, 河原 英紀, 松井 淑恵
    • 学会等名
      情報処理学会第137回音楽情報科学研究会(音学シンポジウム)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 音声モーフィングを用いた話者類似性判断と話者同定判断の調査: 発話単語の同異と鼻音の有無による影響2023

    • 著者名/発表者名
      内堀颯太, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第149回(2023年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本語音声のモーフィングに対する性別判断: 心理測定関数による知覚特性の調査2023

    • 著者名/発表者名
      菅野聖真, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第149回(2023年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 演技未経験者の感情音声の演技における台本の影響: 音響解析と主観評価による検討2023

    • 著者名/発表者名
      坂下尚史, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第149回(2023年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 調波複合音の基本周波数の変調に対する発声の不随意応答: 階段状ピッチシフト実験との比較2023

    • 著者名/発表者名
      廖嘉慧, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会第149回(2023年春季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 基本周波数の周波数変調に対する発声の不随意応答:刺激音の種類・変調量による影響2022

    • 著者名/発表者名
      廖 嘉慧, 河原 英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会2022年秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 演技未経験者の感情音声の演技発話における台本の影響2022

    • 著者名/発表者名
      坂下 尚史, 河原 英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会2022年秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] モーフィング音声を用いた話者の個人性知覚の調査: 鼻音の有無・発話文の同異による影響2022

    • 著者名/発表者名
      内堀颯太, 河原英紀, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会聴覚研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 豊橋技術科学大学大学院 | 工学研究科 | 松井淑恵

    • URL

      https://cs.tut.ac.jp/~tmatsui/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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