研究課題/領域番号 |
22K03204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
中島 定彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (40299045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 味覚嫌悪学習 / ラット / マウス / 走行 / 辛味 / 雌雄差 / 連合学習 / 味覚学習 / 嫌悪学習 / 運動 |
研究開始時の研究の概要 |
実験動物(ラット・マウス)の福祉に配慮した嫌悪学習の実験技法の標準化を行う。具体的には、摂水・摂食制限のないラットやマウスに好みの餌を与えて、回転かごで自由に走行する機会を与えるという実験手続きをとる。この手続きで餌を忌避するようになる学習が生じることが申請者のこれまでの研究から明らかとなっている。 この走行性味覚嫌悪学習は動物の不快感がほとんどない行動的手続きであることから、この学習を最大化する手法を探り、標準化して、その広報・普及活動にも務めることが本研究の目的であり、行動的学習理論の構築・検証、記憶の神経的機構の理解、ヒトの異常行動の機序解明と治療法の考案などへの貢献が期待できる。
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研究実績の概要 |
被験体であるラットやマウスの不快感を最小限にした味覚嫌悪学習実験技法の確立のため、2022年度は以下の4つについて研究を行った。 (1)摂食・摂水制限をしなくても摂取する味覚刺激として、さまざまな食物(複数のチーズ商品、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモ)を被験体に与えて摂取量を測定した。 (2)内臓不快感を引き起こす塩化リチウムを投与された他個体と一緒にいるだけで(当該被験体は不快処置を受けていないのに)味覚嫌悪学習が生じるという「中毒他個体効果」の再現実験を行い、得られた効果は小さいものの再現に成功した。 (3)辛味溶液を用いて味覚嫌悪学習が生じるかを複数の実験でに検討した。強い辛味は人にとって不快であるが、ラットやマウスではヒトが飲めない濃度の辛味溶液も容易に摂取することから、辛味を感じていないのか、それとも感じているが不快ではないのかを探ることを目的とした実験である。 (4)自発的な回転カゴ走行はラットやマウスにとって不快ではないが、味覚嫌悪学習を引き起こす。特にマウスは回転かごに閉じ込めなくても、勝手に回転かごに入って走る(その結果、走行前に食べた味覚を避けるようになる)。しかしラットでは、回転カゴへの閉じ込めが必要だというのが、これまでの知見であった。そこで活動性の高い系統のラットを用いて、閉じ込めなくても勝手に回転かごに入って走り、味覚嫌悪学習を示すかどうか検討した。残念ながら、勝手に回転かごに入って走ることはなかった。また、オスよりも活動性の高いメスでも走行性味覚嫌悪学習の実験を実施して雌雄差を検討し、内臓不快感を引き起こす塩化リチウムで形成する味覚嫌悪学習の雌雄差と比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように4種類の実験テーマを進めることができた。各テーマについても複数の実験を実施し、合計16の実験を実施した。ただし、初年度であるため成果としては学会発表2件にとどまっていて、学術誌への論文発表には至っていない。ただし既に論文1篇を投稿中であり、もう1篇を現在執筆しているところである。また、2023年度に国際会議1件を含む3つの学会大会で合計3件の発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
すでに実施した実験を論文化するため、追加実験・再現実験を行うとともに、新たなサブテーマでの実験を開始する。また、学会発表や論文での成果発信に努める。なお、2023年度4月より1名の大学院生を指導することとなったので、その助力を得てこれまでの研究計画を発展させる予定である。
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