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多次元衝動性検査の開発とADHD診断補助への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K03207
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10040:実験心理学関連
研究機関旭川医科大学

研究代表者

池上 将永  旭川医科大学, 医学部, 教授 (20322919)

研究分担者 高橋 雅治  旭川医科大学, 医学部, 名誉教授 (80183060)
空間 美智子  京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (00623406)
片山 綾  大阪城南女子短期大学, 総合保育学科, 講師 (30881106)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード衝動性 / 遅延割引 / 注意欠如・多動症 / ADHD / 反応抑制 / 熟慮性
研究開始時の研究の概要

「よく考える前に反応する」「細部に注意を払わずに物事を結論づける」「将来の結果を待てずに目先の報酬を選ぶ」といったさまざまな心理・行動特性を包括的に衝動性と呼ぶ。本研究では、これらの異なる衝動性次元について、行動課題を用いて定量的に評価する「多次元衝動性検査」を開発する。また、多次元衝動性検査のプロフィールとADHD児の臨床像との関連を分析し、ADHD診断の補助資料として応用することを目指す。

研究実績の概要

衝動性(impulsivity)は、注意欠如・多動症(ADHD)等の病態理解において中核となる心理学的概念である。衝動性は多次元的な心理・行動特性であり、個人の衝動性を正確に把握するためには、各次元に対応した行動課題を用いる必要がある。本研究は、衝動性を構成する複数の次元を評価する包括的なテストバッテリー(多次元衝動性検査)を開発することを目的としている。
2023年度の前半において、複数の衝動性次元を含むテストバッテリーを作成し、非臨床群(健常大学生)を対象とした検討を行った。テストバッテリーには、新たに作成した短縮版の遅延割引検査(5-trial adjusting task)が含まれていた。非臨床群を対象とした実験において、まず短縮版の遅延割引検査(5-trial adjusting task)の妥当性を検討した。その結果、短縮版の遅延割引検査が従来版と十分な相関を持ち、かつ、その他の衝動性指標と有意な相関を持つことを確認した。また、テストバッテリーのスコアに基づいた因子分析の結果、ワーキングメモリとプランニング、遅延割引と遅延嫌悪、尚早運動反応の3因子が抽出され、テストバッテリーがADHDに関わる認知特性および複数の衝動性次元をカバーしていることが確認された。さらに構造方程式モデリングの結果から、遅延割引率の高さが成人ADHDスクリーニング質問紙(ASRS)得点に有意な影響を与えている可能性が示唆された。
2023年度の後半からはADHD児を対象としたテストバッテリーの臨床的有用性に関する検討を開始した。今後、例数を増やしつつ、テストバッテリーのスコア、養育者による実行機能評価尺度(BRIEF-P)、およびADHD臨床尺度の間の関連性を検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の計画として、衝動性を多次元的に測定するテストバッテリーを作成し、その因子構造を確認することが予定されていた。また、短縮版遅延割引検査の作成と妥当性の確認が予定されていた。これらの目標は概ね達成され、結果は2024年に開催される学会で発表する予定となっている。
上記と並行して、ADHD児を対象とした臨床的研究の開始が予定されていた。ADHD児を対象とした検討から、テストバッテリーがADHD児に対しても実施可能であることが確認された。例数が未だ目標に到達していないため今後の進捗に注意する必要はあるが、全般的に当初の研究計画通りに進めることが出来た。
以上から、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断された。

今後の研究の推進方策

2024年度は、ADHD児を対象として、多次元衝動性検査の臨床的有用性に関する検討をさらに進めていく予定である。テストバッテリーのスコア、養育者による実行機能評価尺度(BRIEF-P)、およびADHD臨床尺度の関連性を詳細に検討できるように実験参加者を目標数までを増やしていく。得られた結果は、学会や学術雑誌で発表する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Differential Neural Correlates in the Prefrontal Cortex during a Delay Discounting Task in Healthy Adults: An fNIRS Study2023

    • 著者名/発表者名
      Masanaga Ikegami, Michiko Sorama
    • 雑誌名

      Brain Sciences

      巻: 13 号: 5 ページ: 758-758

    • DOI

      10.3390/brainsci13050758

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A Web-Based Self-Control Paradigm: A Comparison with Laboratory Experiments.2023

    • 著者名/発表者名
      Aya Katayama
    • 学会等名
      Society for the Quantitative Analysis of Behavior 45th Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 報酬の損失を考慮したセルフ・コントロール選択パラダイムの検討:目標設定の効果2023

    • 著者名/発表者名
      片山 綾
    • 学会等名
      日本行動分析学会第41回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 音読・歌唱およびハミング課題遂行中の前頭前皮質活動-近赤外分光法(NIRS)を用いた検討-2022

    • 著者名/発表者名
      池上将永・高橋雅治
    • 学会等名
      日本心理学会第86回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ユマニチュード研究の現在と未来2022

    • 著者名/発表者名
      高橋 雅治
    • 学会等名
      日本心理学会第86回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 子どものセルフコントロールと刺激選好:マシュマロテストから価値割引研究まで2022

    • 著者名/発表者名
      空間美智子
    • 学会等名
      日本行動分析学会第40回年次大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ASD児とADHD児における社会性のアセスメント:社会割引と社会的ジレンマ課題の適用2022

    • 著者名/発表者名
      空間美智子・伊藤正人・中島陽大・前田真治
    • 学会等名
      日本心理学会第86回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Web上で行うセルフ・コントロール選択測定法の開発:喫煙者・非喫煙者・禁煙成功者の比較2022

    • 著者名/発表者名
      片山 綾
    • 学会等名
      日本行動分析学会第40回年次大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 手を動かしながら学ぶ 学習心理学2022

    • 著者名/発表者名
      鮫島和行・澤幸祐・空間美智子・高橋良幸・八賀洋介・福田実奈
    • 総ページ数
      136
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      9784254520323
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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