研究課題/領域番号 |
22K03212
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 中京大学 (2023) 愛媛大学 (2022) |
研究代表者 |
大塚 由美子 中京大学, 心理学部, 教授 (20757645)
|
研究分担者 |
白井 述 立教大学, 現代心理学部, 教授 (50554367)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 視線知覚 / 視覚発達 / 顔向き / 錯視 / 顔認知 |
研究開始時の研究の概要 |
視線を介したやりとりは、円滑な対人コミュニケーションのために重要な役割を果たす。近年、他者の視線方向を様々な向きの顔から安定して知覚するためには「目の向き」と「顔向き」の情報を統合的に処理することが重要であることが示されてきた。また、幼い乳児でさえ、顔向きの情報を視線方向知覚に利用する能力を持つことを示す研究もあるが、視線知覚の情報統合過程が乳児期以降、成人期に至るまでにどのような発達的変化を遂げるのかについては未だ理解が進んでいない。そこで、本研究計画では、幼年期から成人期に至るまでの視線知覚の情報統合過程の発達的変化を、複数の年齢群間で共通の実験課題と指標を用いて定量的な検討を行う。
|
研究実績の概要 |
異なる顔向きの顔画像に正面向きの目を合成することで作成されたWollaston錯視画像(Wollaston, 1824)および頭部回転時の自然な眼球回転角を示す顔画像(Normal画像)を用いて、幅広い年齢群を対象として視線方向知覚の発達的変化を検討した。4-16才の未成年および20代前後の学生と20代から50代までの成人を対象として視線方向左右弁別課題からのデータを取得した。顔向き間でのPSEを比較した結果、Wollaston画像・Normal画像の両画像条件で一貫して未成年参加者の中では年少児ほど視線方向が顔向き方向へ引き付けられる誘引効果が顕著であるという結果が得られた。成人の中では明確な発達的変化は見られなかったものの、全体としては顔向き方向への誘引効果は10‐16才の思春期頃の年齢群において最も小さかった。さらに、反応時間の遅延ピークを異なる顔向き間で比較する分析を追加した結果、反応時間の分析においてもPSEの分析と一貫した発達にともなう顔向きの影響の変化が確認された。 また、顔向きからの誘引効果が刺激条件に依存して柔軟に変化する可能性について検討を行った。具体的には、画像の大きさをより小さく変更し、顔向き情報と比べた目領域情報の相対的な不確実性の高まる事態において、子どもの視線方向判断の顔向きへの依存度が変化するかを検討した。7‐9才を対象とした実験の結果、画像が小さく目の細部が認識しにくい条件下では、誘引効果がより強くなり、顔向き情報の重みづけが大きくなることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視線方向の知覚における目と顔向き情報の統合過程の発達的変化に関して一定の成果を得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究でこれまで得られたデータから視線方向知覚における目領域の情報とその周辺部の顔向き文脈情報の重みづけが発達的に変化することが示された。今後は、顔向き以外の文脈情報においても同様の発達的変化パターンが確認されるか検討を進めたいと考える。
|