• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

配偶に伴う母性発現調節の行動神経内分泌メカニズムの解明とその心理臨床応用の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K03213
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10040:実験心理学関連
研究機関鹿児島大学

研究代表者

富原 一哉  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00272146)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード母性行動 / 妊娠期ホルモン変動 / 親的投資配分仮説 / 偽妊娠 / 行動神経内分泌 / 心理臨床的応用 / evidence-based practice / リアルワールドデータの活用 / 行動神経内分泌メカニズム / 母性記憶
研究開始時の研究の概要

近年,交配雄の特性やその雄との相互作用は,妊娠時の雌親のホルモン変動に影響を及ぼし,結果として,雌は雄親の特性に応じて母性投資を調節すると考えられている。そこで,本研究では,雄親の特性や実際の交配時の相互作用が母性発現に及ぼす影響とその行動神経内分泌メカニズムの解明を目指すとともに,そこで得られた知見を心理臨床場面で応用する道を探る。

研究実績の概要

近年,妊娠授乳期のホルモン変化やそれに影響を与える環境要因が,母性行動発現に関わる脳・神経機構の変化に関与していることが示されてきている。本研究は,その基礎メカニズムの解明を目指すとともに,そこで得られた知見を心理臨床場面で応用する道を探るものである。
令和5年度においては,まず昨年度に引き続き,交尾相手雄の社会的優位性が,出産後の雌親の養育行動に及ぼす影響についてさらに詳細に検討した。具体的には,雌マウスを,精輸管切除を行った社会的優位な雄あるいは劣位な雄マウスと3週間同居させ,その後雌マウスに対し他個体の仔(里子)を提示し,養育行動を観察した。その結果,劣位雄との交尾によっても雌親は高いレベルの養育行動を示し,交尾相手雄の社会的優位性に基づく差は認められなかった。一方,このような養育行動の促進は,実際の妊娠出産を経ずとも,雄との交尾だけでも実現されることが示唆された。このような交尾誘導性の養育行動の促進は,交尾刺激により誘発される雌の偽妊娠に伴うホルモン変化によってもたらされるものと予測される。今後はこれらの詳細なメカニズムについてさらに検討する予定である。
一方,探索的試みである研究知見の心理臨床場面での応用については,心理支援の現場のニーズを受けて,それぞれの機関で行われている取り組みの有効性を実証するデータ分析支援等を行っていく中で,有益な進め方についての情報交換を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

養育行動の促進についての新たな発見があったため,この検証に時間を費やし,当初予定していた交尾相手の選択可能場面での雄の影響についての検討を令和6年度に実施することとした。また,交尾誘導性の養育行動の促進の行動神経メカニズムについても検討を行う予定である。なお,計画の遅れから,当初計画していた全ての実験条件での検討は困難であるため,実験条件を限定するなどして対応する。
一方,探索的試みである心理臨床応用の検討については,協力体制を構築し,データ分析支援を行うなど順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

当初令和5年度に予定していた,配偶者選択が可能な場面での交尾によって親的投資配分が起こるかを確認する実験を行う。また,交尾刺激(偽妊娠)による養育行動促進のメカニズムを解明するため,養育行動に関わる脳神経部位での変化について検討を行う予定である。
研究知見の臨床的応用については,引き続き現場の心理士の意見を得ながら本研究に関する情報発信内容とその方法の検討を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 適応的観点からの母性行動発現の脆弱性の理解2023

    • 著者名/発表者名
      富原一哉
    • 雑誌名

      動物心理学研究

      巻: 73 号: 2 ページ: 85-98

    • DOI

      10.2502/janip.73.2.7

    • ISSN
      0916-8419, 1880-9022
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 母性行動の適応的投資調節をもたらす神経内分泌基盤2023

    • 著者名/発表者名
      富原一哉
    • 雑誌名

      月刊細胞

      巻: 55(8) ページ: 633-636

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 発達障害児の家族支援の現状と今後の展望 ―発達障害児の親/保護者にとって必要な支援とは―2023

    • 著者名/発表者名
      前野明子,富原一哉
    • 雑誌名

      地域政策科学研究

      巻: 20 ページ: 1-17

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 交尾相手雄の社会的優位性が雌マウスの養育行動に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      阿野太郎,有水楓,西田飛羽,富原一哉
    • 学会等名
      九州心理学会第84回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 雌マウスの母性記憶の検討2022

    • 著者名/発表者名
      大西舞,森本ちな,富原一哉
    • 学会等名
      九州心理学会第83回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ゲームの使用法に問題を抱える子どもに入院治療を選択することの意義2022

    • 著者名/発表者名
      辻翔太,濱本晋也,山川あゆ美,杉本千佳子,比江島誠人,富原一哉
    • 学会等名
      第118回日本精神神経学会学術総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 動物心理学入門2023

    • 著者名/発表者名
      日本動物心理学会、小川 園子、富原 一哉、岡田 隆
    • 総ページ数
      156
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641174887
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 脳とホルモンの行動学 第2版 -わかりやすい行動神経内分泌学-2023

    • 著者名/発表者名
      近藤保彦・小川園子・菊水健史・山田一夫・富原一哉・塚原伸治
    • 総ページ数
      364
    • 出版者
      西村書店
    • ISBN
      9784867060438
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi