研究課題/領域番号 |
22K03214
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
堀井 謹子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80433332)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 視床下部 / 神経ペプチド / Urocortin-3 / 防御行動 / 潜在的脅威 / ホームケージ / 常同性繰り返し行動 / 強迫性障害 / リスクアセスメント / 安全性 / 不安 / 精神疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトも含め動物は、“未知なもの”に不安を抱くようにできており、これは、リスクが不明な「潜在的脅威」から身を守るための防御本能である。未知なものに遭遇した動物は「リスクアセスメント」と呼ばれる探索行動を示すが、長年、本行動の調節メカニズムは不明であった。申請者は最近、「視床下部のUrocortin-3産生ニューロンが新奇物体へのリスクアセスメント行動の調節に関わる」ことを明らかにした。本研究ではこれらニューロンに着目し、薬理遺伝学による特定神経回路の活動操作やRNA干渉による神経ペプチドの発現抑制を行い、「未知なものに対する不安・葛藤と行動を調節する神経回路」の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
住環境は、ヒトを含むすべての動物にとって、その安全が確保されていなければならない場所である。これまでの研究により、視床下部PeF Urocortin-3ニューロンは、将来、起こるかもしれない脅威(潜在的脅威)に対する防御行動を調節することがわかっている。今回の研究により、これらニューロンを、ホームケージにて活性化すると、周囲への警戒行動である立ち上がり行動に加え、床敷きをケージの蓋の隙間に埋める、壁に高く盛る、といった極めて特徴的かつ常同的な繰り返し行動が誘発された。本行動は、1961年にJ. Calhounがラットの研究によって報告した「Entrance-sealing」と類似した行動だと考えられる。Entrance-sealingは、来るかもしれない敵/侵入者に備えて、巣穴の入り口を内側から塞ぐ行動であり、授乳期のメスで頻度が増えることが報告されている。よって本行動は、安全確保が必須の住環境で起こる、未だ起こっていない脅威、すなわち潜在的脅威に備えた行動であると考えられる。Calhounが報告して以来、60年以上もの間、本行動に関する報告もなく、その神経メカニズムも全く不明であった。しかし、今回の実験により、視床下部PeFのUrocortin-3ニューロンが本行動を誘発することが明らかになった。また、神経活動マーカーc-Fosを用いた実験により、本行動を示したマウスは、外側中隔のCalbindin陽性ニューロンを活性化することが明らかになった。更に、本行動は選択的セロトニン再取り込み阻害剤で抑制されることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AAV(retro)ベクターによるUrocortin-3ニューロンの感染が認められないため、PeFー外側中隔神経回路を特異的に活性化することはできていない。しかし、ホームケージ内で誘発される行動を発見し、その行動に伴い、外側中隔のCalbindin陽性ニューロンが活性化されることも明らかになった。また、PeF Urocortin-3ニューロンが引き起こす一連の行動は、常同的な繰り返し行動であり、選択的セロトニン再取り込み阻害剤で抑制されることも示された。これらの内容を論文として発表出来た。
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今後の研究の推進方策 |
PeF Urocortin-3ニューロンはEnkephalinを共発現する。これら神経ペプチドの役割を明らかにするため、それぞれのペプチドをAAVベクターを用いてノックアウトもしくはノックダウンを行い、行動試験や摂食、内分泌への影響を調べる予定でアル。 また、ホームケージ環境下で、PeF Urocortin-3ニューロンを薬理遺伝学により活性化すると戸締まり様行動/Entrance-sealingが誘発されることがわかったが、本行動を遺伝子操作を使わず、より自然な条件で誘発し、新たな行動試験系の確立に取り組む予定である。
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