研究課題/領域番号 |
22K03224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 志保子 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任教授 (60202933)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | singularities / log canonical threshold / 特異点 / minimal log discrepancy / 正標数の双有理幾何学 / 弧空間 |
研究開始時の研究の概要 |
標数0の体上定義された多様体の特異点は,色々なツール(特異点解消,Bertini の定理,コホモロジー消滅定理など)が使えるので詳しく研究されてきたが,正標数の体上定義された多様体の特異点はこれらのツールが使えないので同様の結果は得られていない. そこで標数0の特異点の不変数に関して示されている結果に直接橋をかけて,正標数の特異点の不変数の情報を得ようとするのがこの研究である. 標数に関わりなく特異点の不変数が弧空間の言葉で表現できることから,これが橋渡しの役目を果たすだろうという発想からきている.
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研究実績の概要 |
6月にPrinceton 大学で開催されたNoetherian Ring 100 anniversary conference でIdeal のlifting について講演した.特異点の挙動や関連する問題について参加者らと議論した.conference 終了後Princeton 大学のJanos Kollar 氏,Jakub Widachek 氏とセミナーを行い,ideal のlifting について議論した.この後のメールのやり取りにて,Kollar 氏から重要な課題の提示があった.この課題はKovacs 氏のpreprint の結果を使えば解決できることがわかった.10月の名古屋大学での研究集会で,参加者からKovacs の結果には反例があるという情報提供があった.しかしその反例は筆者が使っていた1次のdirect image のvanishing の反例ではなく,またその反例があれば正標数の世界で特異点解消の非存在の例が成立してしまうため,1次の場合には direct image のvanishing は成立すると予想された. このvanishing を示すため,可換環論のdepth の議論を使う.このvanishingは「Rees 環のDepth が3以上」と翻訳される.これは任意標数で成立するということを証明した.さらにRees 環の定義するblowup空間のCohen-Macaulay 性を仮定すると,数学的帰納法を使って標数0の場合には Rees 環のDepth がblowup空間の次元以上になることが示された.これは意義のある問題であるため本来のLifting の問題から少し離れた問題であるがこの方向では標数の縛りを解消することを目指して研究する. なお,このvanishing を使って本来のlifting の理論を完結させることも目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想通り1次のdirect image sheaf のvanishing が示されたので,これまでに準備してきたことを使えば目的は達せられると予想している.
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今後の研究の推進方策 |
6月に特異点を持つ多様体の幾何学のエキスパートであるMustata氏を迎えてのworkshopに参加し,議論する. 多方面からの視点も必要なため10月にWien のSchlessinger 研究所での研究集会をorganize し,参加する.また若い人たちに当該研究に興味を持ってもらうため,ベトナムのHanoi での研究集会で計6コマの集中講義をする予定である. これらを踏まえ,lifting の問題の論文を仕上げる予定である.
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