研究課題/領域番号 |
22K03235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
古澤 昌秋 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (50294525)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 保型L函数 / L函数の特殊値 / ジーゲル保型形式 / 代数学 / 数論 |
研究開始時の研究の概要 |
「数学は科学の女王であり、数論は数学の女王である。」という言葉がある。研究者の純粋な知的探究心を原動力として発展してきた数論であるが、それと同時に、インターネット通信を支える暗号理論に見られるように、発見の当事者の思いも寄らない形で社会の発展に大きく貢献してきた。 現代の数論は、ゼータ函数の研究である、といっても過言ではない。そして、保型L函数がその中心的対象となっている。本研究は、数論的情報を豊富に内包していると考えられる、保型L函数の特殊値を調べようというものである。その成果には、今後の数論の発展への寄与が期待される。
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研究実績の概要 |
森本和輝(神戸大学)との共同研究においては、トーラス上の指標が非自明な場合についての、一般化されたベッヘラー(Boecherer)予想についての、原稿として100ページあまりとなる大部の論文が査読及び改訂作業を経て、先ごろ、Compositio Mathematicaに受理され、まもなく出版予定である.既に公刊されているJEMS論文と比較すると、ベッヘラー予想を導く、市野‐池田公式が、指標が非自明化されただけでなく、基礎体も一般の場合に証明されており、ベッヘラー予想もベクトル値ジーゲル保型形式を含む形で証明することができている.今後、様々な応用が期待されるが、既に興味深い応用がなされつつある.森本との共同研究では、(U(2n),U(1))の場合のGan-Gross-Prasad予想及びその精密化に関する50ページ程度の論文が投稿中であり、既に数回の査読及びそれに対応する改訂作業が行われている.近日中に論文が受理されることを期待している。 改訂作業に多くの時間を割かねばならず、新しい研究に集中することは難しかったが、楢原友(大阪市立大学3回生(2023年度))との共同研究によって、cotangentゼータ函数の特殊値に関するBerndt-荒川の公式についての新しい証明を与えることができた.論文は既に完成し、国際学術誌に投稿し、現在査読を受けているところである. ベッセル周期を与えるようなポアンカレ級数に関しては、今もこれまでの先行研究を調査している段階である.近い問題を考察している文献をいくつか見つけたが、全く同一の問題を考察しているものは無いようなので、そろそろ自分自身の考察を深めていこうと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的に長い論文2編の改訂作業にずっと携わったが、1編はacceptに到り、もう1編もあと一息の状態に持っていくことができた.また、これまでの研究分野とは全く異なる分野での論文を、学部3回生である楢原さんと仕上げることができたことは、後進育成に少しでも寄与できたという感慨と共に、研究者としての大きな喜びも感じた.
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今後の研究の推進方策 |
ポアンカレ級数については、GL(2)、すなわち、楕円モジュラー保型形式の場合と、重さ半整数保型形式の場合の結果をよく理解することが重要であると考える.GSp(2)についてはWhittaker周期に関するポアンカレ級数も近年研究されているようなので、これについても調べる必要があると思われる. 楢原との共同研究については、Kronecker極限公式との関連があるかもしれないので、これについても考察したい.
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