研究課題/領域番号 |
22K03243
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹山 美宏 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60375392)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 多重ゼータ値 / q類似 / 多重L値 / 有限多重調和和 |
研究開始時の研究の概要 |
q類似とは,良い性質をもつ1パラメータ変形であって,そのパラメータqを1に近づける極限において元の対象を復元するもののことをいう。本研究では数論的対象のq類似を扱う。通常,q類似の研究ではqの絶対値が1未満の範囲で考えるが,本研究では絶対値が1の場合(1のベキ根も含む)もあわせて考察する。具体的には,多重ゼータ値,多重L値,有限多重調和和およびフィボナッチ数列などのq類似を考える。
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研究実績の概要 |
今年度の研究では,対称多重ゼータ値の q類似を構成した(プレプリント arXiv:2301.1265,投稿中)。Kaneko-Zagier は,有限多重ゼータ値および対称多重ゼータ値と呼ばれる多重ゼータ値の二つの類似物を定義し,これらの間にある一対一対応があることを予想した。このうち,対称多重ゼータ値は,多重ゼータ値全体が有理数体上で生成する代数を,円周率πの2乗が生成するイデアルで割ったものの元として定義される。対称多重ゼータ値は,二重シャッフル関係式,大野型関係式など,多重ゼータ値と類似の関係式を満たすことが知られている。 対称多重ゼータ値の定義においては,多重ゼータ値の2種類の正規化が用いられるが,このうち1変数の多重ポリログ関数を用いる正規化(シャッフル正規化)については,そのq類似を定義するのが難しく,そのため対称多重ゼータ値のq類似を構成することも困難であった。最近,Ono-Seki-Yamamoto によって,対称多重ゼータ値が有限多重調和和の極限として得られることが示された。今年度の研究ではこの構成の q類似を考えることで,対称多重ゼータ値の q類似を定義し,それが二重シャッフル関係式や大野型関係式の一部を満たすことを証明した。この定義においては,πの2乗が生成するイデアルのq類似を定式化するのがポイントとなる。本研究では,多重ゼータ値のうち qを1にする極限で0またはπの偶数乗になるものを選び,これらが生成するイデアルとして定式化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は種々の数論的対象の q類似を考察することを目的とするものであるが,今年度は対称多重ゼータ値の q類似を構成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究において構成した対称多重ゼータ値の q類似は,パラメータqの絶対値が1未満の範囲で構成される。今後は q の絶対値が1であるような q類似の構成を試みたい。
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