研究課題/領域番号 |
22K03244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
広瀬 稔 名古屋大学, 高等研究院(多元), 特任助教 (70773969)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 多重ゼータ値 / 多重ゼータ関数 / 混合モチーフの周期 / 反復積分 / 多重ゼータ |
研究開始時の研究の概要 |
多重ゼータ値とはリーマンゼータ値の正の整数点での値を一般化した実数であり多重級数で定義される。また、多重ゼータ値は代数的な積分表示を持つことが知られており、それによって混合モチーフの周期の特別な場合であるとみなすことができる。これらは混合モチーフ等の代数的理論、新谷ゼータ関数等の解析的理論、モジュライ空間の幾何学を扱うグロタンディーク・タイヒミュラー理論など、様々な場面に現れる。この多重ゼータ値やその一般化としての周期について、新谷ゼータ関数・反復積分・グロタンディーク・タイヒミュラー理論を軸に総合的な研究を行う。
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研究実績の概要 |
村原英樹氏と小野塚友一氏との共同研究でSchur多重ゼータ値の積分表示に関する研究を行なった。具体的には、リボン型のSchur多重ゼータ値の積分表示に関する中筋・Phuksuwan・山﨑の結果を一般化し、対角線上に同じ数字が並ぶというSchur多重ゼータ値のクラスに対し、山本積分表示を与えた。また、証明のために変数を含むより一般的な級数と積分に対し等式を一般化した。また、系として二種類の双対関係式が得られることを示し、そのうち一方は大野・中筋によるSchur多重ゼータ値の双対関係式と一致することを確認した。これらの成果は「Integral expressions for Schur multiple zeta values」というタイトルで論文にまとめarXivにアップロードした。また、第17回多重ゼータ研究集会にて、「Schur 多重ゼータ値の山本積分表示について 」というタイトルで講演を行った。 また、Enriquezが導入した円分的GT群のレベル2の場合について、これがレベル2の混合テイトモチーフのモチビックガロア群に一致することを証明した。この成果は、「The cyclotomic Grothendieck-Teichmuller group and the motivic Galois group」というタイトルで論文にまとめ、arXivにアップロードした。 また、村原英樹氏と小野塚友一氏との共同研究で、新谷ゼータ関数の特別な場合である二重ゼータ関数の値について、変数の実部が負の方向に十分大きい場合の漸近挙動について結果を得た。一重ゼータ関数、つまりリーマンゼータ関数の場合は、変数が負の方向に十分大きい時の挙動が関数等式からすぐに分かるが、二重ゼータ関数の場合は全く非自明であり、その意味で本研究は重要である。この成果は「On the asymptotic behavior of the double zeta function for large negative indices」というタイトルで論文にまとめ、arXivにアップロードした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、対角線上に同じ数字が並ぶ場合のSchur多重ゼータ値の山本積分表示と双対関係式への応用、円分的GT群がレベル2のモチヴィックGalois群に一致することの証明の論文の執筆、二重ゼータ関数の負の方向への漸近挙動についての研究、などの成果を挙げることができた。特に、円分的GT群がレベル2のモチヴィックGalois群に一致するというのは理論的に重要な成果である。このように多重ゼータ値、GT理論、多重ゼータ関数等について、成果を数多く得られているため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、周囲の研究者と密に連携を取りながら、研究を進める。特にGT理論に関しては、レベルが2冪や3冪となる場合のモチヴィックGalois群や円分的GT群について考察を進める。また、多重ゼータ関数については、深さ3以上の場合の負での漸近挙動についても調べる。また、研究内容について現在予想していない方向性の発見があった場合は、より重要と判断できるものを優先して研究を進める。
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