研究課題/領域番号 |
22K03248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
浦本 武雄 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (40759726)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 変形相互律 / 代数的Wittベクトル / モジュラリティ定理 / Siegelモジュラー関数 / CM体 / アーベル多様体 / 類体論 / 代数的言語理論 / Witt vector / 決定可能性 / Siegel modular variety / 志村相互律 / 変形理論 / 古典類体論 / 明示的類体論 / 非可換類体論 / 計算理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,形式言語理論に属すEilenberg理論と,整数論に属す古典類体論の融合領域を開拓する.Eilenberg理論は正規言語の階層に関して体系的分類が可能であることを示すもので,言語の分類理論として規範的である.本研究で類体論との融合研究を進めEilenberg理論に新たな視点をもたらし,高階の言語階層にまで理論を拡張することを目指す.一方,整数論の文脈で言えば,本研究で古典類体論にも新しい視点が得られたことで,現在主流のLanglands programとは異なる類体論拡張の方向性が示唆されているように思われる.未知数な部分は多いが,これまでの観察を深め,その可能性を追求する.
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研究実績の概要 |
本年度では第三論文で示していた虚2次体上のalgebraic Witt vectorのmodularity theoremを,CM体の場合に拡張した結果を示し,その論文を執筆した. 本論文(第四論文)では,CM typeのreflex fieldであるCM体K上のalgebraic Witt vector(modular vector)を,theta関数の比から構成できることを示し,またガロア型対応を通して,どのalgebraic Witt vectorがmodular vectorから生成できるかをK(と元のCM体)に内在的な言葉で特徴づけた.この結果は特に虚2次体の場合には,第三論文のmodularity theoremと同様に,すべてのalgebraic Witt vectorが(thetaの比から得られる)modular vectorでも生成できることを意味する.
虚2次体の場合と異なり一般のCM体では,Kのintegral adeleはreflex normを経由してabelian varietyのtorsion pointに作用するが,そのreflex normが問題を少し難しくする当然のことに後に気づいた.しかしreflex体だけでなく元のCM体も合わせて両方うまく使えば,この問題が回避できることに気づき,上記の結果を得た.特にその結果,虚2次体の場合とは少し異なる現象(idele群の部分群にならない部分集合を用いる必要があったことなど)を観察できたことは収穫であった.
この結果の証明,および証明に使った結果(志村相互律,あるいは虚数乗法の主定理)の証明を詳しく吟味すると,abelian varietyのmoduliだけでなく,より一般に例えば代数曲線のmoduliでも同様の議論が可能であるだろうと思わせるものがあり,その関連で非可換化に関する諸観察を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第三論文以前は何をどうすれば良いと言えるのかすらはっきりせず手当たり次第に勉強・研究をする他なかったが,第三論文,第四論文で一つのプロトタイプができ,おおよその方向性が見えてきたことで,身につけるべき知識・技術が明確化されてきたことが大きい.必要な関連論文・書籍を芋づる式に見つけられるようになってきたことは,これまでの暗中模索と比べると遥かに良い傾向であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
第四論文後,特に非可換化に向けた観察を続けている.第二論文の非可換化や高次元化,Milne-Shihの非可換相互律の変形等に関する諸観察を得ているが,この諸観察自体は正しい非可換化であるとは考えていない.これらについては中途観察結果としてどこかに書くかもしれない.
非可換化との関連で市川尚志氏,伊原康隆氏の研究に着目しており,その方面で観察を続ける.また仮に本研究が非可換類体論の(idele類群的なものではなく古典類体論に親和的な)定式化と関わるとしても,(idele類群的な類体論に親和的な)ラングランズ予想と無関係ではないはずであるため,(RIMS講究録に書いたshort essayとの関連で)両者を比較することを目的としてその方面の勉強も徐々に進める.この比較観察は数論のためというより(代表者のshort essayの意味での)計算理論のためであるという方が良い.現実的にはこれまでの結果を一気に非可換化するのではなく,その構成要素となった個々の部分をそれぞれ別個に非可換化するというやり方を取る必要があるように思われる.(上述の第二論文の結果の非可換化はその一環である.) 代数曲線のgood reductionやbad reductionについても観察する.
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