研究課題/領域番号 |
22K03253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
加塩 朋和 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 准教授 (10403106)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 代数体の単数群 / 代数体の整数環 / Stark予想 / CM周期 / 多重ガンマ関数 / p進類似 / 代数的整数論 / 類体論 / p進多重ガンマ関数 / 絶対フロベニウス作用 / p進周期 / スターク予想 / 虚数乗法論 / 代数曲線 / 単数群 / 冪整基底 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに虚数乗法論、p進Hodge理論、そしてフェルマー曲線などの代数曲線を利用することで、Stark予想とそのp進類似を研究してきた。特にp進Hodge理論の同分野への応用が一つの特徴といえる。本研究においては同手法の完成を第一の目標とする。 一方でStark予想はHilbertの第12問題(類体構成)に対する解法を与えており、代数体の明示的な構成の研究であるとも言える。今後はこれまでに得られた知見や最新の研究成果も応用し、より繊細な整数環や単数群の明示的な構成にも取り組む。 これらはHasseの冪整基底問題やWeberの類数問題などの、数論における重要問題への応用を視野に入れた研究である。
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研究実績の概要 |
本研究ある種の明示的な構成を通じて、代数体の整数環や単数群の性質を明らかにすることを目標としている。研究の軸は主に1.多重ガンマ関数とそのp進類似を用いてCM周期とそのp進類似の性質を探る研究。2.単数群の生成系を詳しく調べることによる、単数群や類数の問題へのアプローチ。3.冪整基底問題。4.その他整数論の諸問題。である。当該年度は特に1,2,4での進展が得られた。以下箇条書きで説明する。 1.京都大学元教授の吉田敬之氏との共同研究により、多重ガンマ関数、CM周期、及びこれらのp進類似の間の予想式を定式化し、これまで関連する研究を長く続けている。当該年度までに関連するプレプリントを2本書き、そのうち1本は学術誌に掲載決定し、もう1本は査読行程中である。 2.吉崎彪雅氏との共同研究により、有理数体のZ2拡大における相対単数群の最小元に関する予想を定式化し、すでにプレプリントとして発表している。この結果のウィーバーの類数問題への応用を開発し、研究集会で発表した。現在さらなる精密化を議論している。 4.平方剰余やその相互法則は整数論における金字塔的な結果である。平方剰余における第二補充法則の、高次べき乗剰余への一般化にあたる予想式を定式化した。当該年度は平川義之輔氏、関川隆太郎氏、高田直明氏との共同研究であったが、現在は山本修司氏も共同研究メンバーに入り、論文投稿へ向けて研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に書いた通り1.多重ガンマ関数とそのp進類似を用いてCM周期とそのp進類似の性質を探る研究。2.単数群の生成系を詳しく調べることによる、単数群や類数の問題へのアプローチ。4.その他整数論の諸問題。の部分で進捗があった。以下箇条書きで説明する。 1.吉田敬之氏はCM周期と多重ガンマ関数の関係を予想した。これはChowla–Selberg公式の一般化を与えている。このChowla–Selberg 公式のp進類似としてColemanの公式が挙げられる。当該年度までにこのColemanの公式が“フロベニウス作用の連続性”という仮定下で自動的に復元できることを証明し、論文としてまとめた。この論文は学術誌に掲載決定している。また、Chowla–Selberg公式やColemanの公式の一般化に関する複数の予想をまとめ、プレプリントとして公開している。こちらは現在論文投稿中である。 2.有理数体上のZ2拡大はただ一つに定まり、その各層の代数体は類数1であると予想されている(Weberの類数問題)。同問題への標準的なアプローチ方法としてその単数群を調べる先行研究がある(堀江、福田-小松、森澤-岡崎、など)。また、吉崎彪雅氏との共同研究により、相対単数群に関する興味深い現象を発見していた。更に類数問題への応用方法を開発し、さらなる精密化と、論文投稿の準備中である。 4.当該年度中に修士学生の高田直明氏が、3乗剰余、5乗剰余に関する興味深い現象を発見した。これらは一般のべき乗剰余に対して拡張されうると予想し、平川義之輔氏、関川隆太郎氏を含めた共同研究となった。その後山本修司氏にも重要なアドバイスをもらい、5人での共同研究となっている。主結果は概ね完成しており、現在論文投稿へ向けての最終段階となっている。
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今後の研究の推進方策 |
概要や進捗状況で触れたとおり、現在投稿中、または、投稿準備中の論文がある。まずはその完成と出版を目指す。幾つかはほぼ完成状態であり、査読行程が残るだけである。一方で幾つかは、論証や予想の根拠の追加が必要だと感じている。今後計算機を用いた数値実験やその解析などにより、論文内容の補強を目指す。 4.で触れた研究成果は、素朴ながら示唆に富んだ内容となっている。古来よりべき乗剰余と類体論の関係は指摘されているが、今回得られた式は、その関係をより明示的に表しているように感じている。今回の結果の精密化や、より一般の場合への拡張、そして別問題への応用をこれから模索していきたい。これらの為に、各研究集会での成果発表や、同方面の専門家との研究討論を行い、研究を進展させていきたい。 1.,2.,3.に関する研究も引き続き続けていきたい。
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