研究課題/領域番号 |
22K03254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩行 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 教授 (60232469)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 正標数代数曲面 / 群スキーム商 / 準楕円曲面 / 特異点 / (準)楕円曲面 / 正標数 / 代数曲面 / 群スキーム |
研究開始時の研究の概要 |
正標数代数多様体の研究はその病理現象の究明が鍵となるが、多くの病理現象は特異点の病理現象との関連が深く、背後にある有限群による野生的作用の理解が必要である。有限群作用を有限群スキームによる作用や導分を用いた作用へと一般化するという視点により、病理現象を包含する一般理論の構築を目指すこと究極的な目的である。 具体的には、正標数二重有理点に対して正しい商特異点としての概念を与え、群スキームの表現論を構築し、正標数McKay対応を理解すること、関連するK3曲面、Calabi-Yau多様体等のモジュライ空間の幾何学的、数論的性質の理解、学習理論・代数統計への新たな知見を模索することを三つの目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は正標数代数多様体の病理現象の解明に必要不可欠である、有限群の野生的作用の理解を有限群スキームによる作用の立場から研究し、病理現象を包含する一般理論の構築を目指すものであった。 2023年度に進捗のあった内容は以下の通り。 目的の一つである、有理二重点をモデルとした、特異点を有限群スキーム商および導分商として捉え直すテーマであるが、前年度より継続して行っている、加法的群スキームと位数pの巡回群とを変形で記述し統一的に捉える研究を積極的に推進した。その変形への持ち上げを構成するにあたり、加法的群スキームと対応する導分の特徴付が重要との認識に至り、共同研究者の三井氏とともに、特徴付の研究を行った。標数が2の場合には非常に綺麗な特徴付けがあるが、標数が3以上の場合には導分が加法的となるための十分条件しか知られていない。特に、十分条件は必要条件からはかけ離れており、いかに必要性を絞り込むかが問題であり、種々の計算から導分の形に数論的条件が関与していることがわかった。2次元の場合、すなわち、2変数形式冪級数環の場合には、基本的に満足できる条件を得ることができた。これを利用することで、擬導分への持ち上げ問題を一般の標数で検討できることとなり、次年度以降大きく進展することが期待される。 目的の二つ目として、群スキーム商や導分商を特別な多様体へ応用することがあった。準楕円曲面が加法的導分商として記述できるための条件は宮西により与えられているが、それを準超楕円曲面の場合に考察することが、上述の一般標数における導分条件から可能となった。結果として、任意標数における準超楕円曲面の加法的導分商による記述問題に進展があった。また、準楕円曲面の理論の応用として、標数が2の正標数超特異K3曲面のモジュライ空間の階層構造について具体的記述を与えることができ、それにより階層構造について新たな知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はコロナ禍も終わり、往来が自由となり、直接の議論の機会が増え、共同研究が行いやすくなった。結果、共同研究者との集中的議論が捗り研究が大いに進展したと言える。また、研究集会への参加も増え、積極的に結果の発表を行うことができた。 次年度はいくつかの異なる話題について複数の論文としては発表したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度大きく進展した三井氏との共同研究である、加法的導分の条件決定を踏まえて、導分変形理論への適用を行う。これにより、これまで標数が2の場合のみ満足した条件が得られていた、変形可能条件が一般標数でも得られる可能性があり、大いに期待するところである。 また、準楕円曲面による超特異K3曲面のモジュライ空間の階層構造究明については、計算の不足している部分を補い論文としてまとめる予定である。同時に、準超楕円曲面の場合についても、準非分離被覆や導分商を適用可能であるので研究を進めたいと考えている。
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