研究課題/領域番号 |
22K03259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
菊田 俊幸 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (60569953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Siegelモジュラー形式 / テータ級数 / 法p特異モジュラー形式 / 合同 / p進モジュラー形式 / Eisenstein級数 / ジーナステータ級数 / テータ作用素 |
研究開始時の研究の概要 |
整数論的に重要な情報が反映される「2次形式」、「L関数」、「絶対Galois群」の解明への応用を念頭に、Siegelモジュラー形式の合同やp進的性質を明らかにする。特に「法p特異モジュラー形式」の具体的構造と、p進Siegelモジュラー形式や法p特異性に深く関わるΘ作用素の性質を解明する。具体的には、 (a) 法p特異モジュラー形式のなすベクトル空間の基底問題の解決。 (b) 法pベキのΘ作用素の像の元のフィルトレーションに関する評価式の検討。そのツイストされたGalois表現の重さの最適化への応用。 を目指す。多変数のp進モジュラー形式の理論の発展と、代数的整数論の分野への応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
当該年度は、主にSiegelモジュラー形式の場合に定義される「法p特異モジュラー形式」の具体的構造の解明および、そのp進Siegel Eisenstein級数への応用を試み、いくらか成果が得られた。具体的には以下の通りである。 (1) 前研究期間の最終年度の終盤において、かなり一般の場合に、レベルNの法p特異モジュラー形式は、レベル「pベキ」×Nの形のテータ級数の一次結合と法pで合同になることを示した。当該年度は、主に上記結果の法pベキへの拡張を目標として始動し、実際にこの拡張が得られた。 (2) 一般次数の場合のレベル1のSiegel Eisenstein級数のp進極限として定義されるp進Siegel Eisenstein級数について考える。上記(1)の理論を用いて、このp進Siegel Eisenstein級数は、レベルpのジーナステータ級数の一次結合で表されることを示した。さらに、このp進Siegel Eisenstein級数のU(p)作用素に関する固有値が1であることを示した。Siegelの主定理により、このp進Siegel Eisenstein級数が再びEisenstein級数の空間に属することが従う。U(p)固有値が1であることから、(重さが大きい場合には)どのEisenstein級数になるかが完全に特徴付けられる。尚、ジーナステータ級数との一致に関する結果は、重さが1や2の特別な場合は、長岡や桂田-長岡によって既に示されていた事実である。次数が特別な場合は、さらに多数の類似の結果が知られている。 以上2件の成果は、いずれもSiegfried Boecherer氏との共同研究によるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主な目標の一つとして挙げられていた、法p特異モジュラー形式の具体的構造の解明については、前研究期間の最終年度の終盤に成果が挙げられた。これにより、上記構造解明に関する当該年度の研究は、既に挙がっている成果のより広い範囲への拡張と、細かい条件の整理に留められた。その分、早い段階でp進Siegel Eisenstein級数への応用に着手することが可能となり、こちらも当該年度中に成果が挙げられた。以上のことから、本研究課題の進捗状況としては順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、法p特異モジュラー形式と関連して、Θ作用素の法pベキにおける核や像について調べる。これまでのSiegfired Boecherer氏との共同研究により、いくつかの解決方策が練られてきており、これを基に議論していく。共同研究者であるマンハイム大学のSiegfired Boecherer氏や、国内の関連の研究者の招聘や訪問を複数回行う予定である。また、関連分野の研究集会に参加し、情報収集を行いながら研究を推進する予定である。
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