研究課題/領域番号 |
22K03260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
青影 一哉 有明工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (60633237)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 対称群のスピン表現 / ヴィラソロ代数 / シューア関数 / Q関数 / リー環 |
研究開始時の研究の概要 |
対称群に付随する群の線型表現とスピン表現を繋ぐ関係式の研究である。以前, フック型シューア関数と長方形型ホールリトルウッド対称関数を繋ぐある関係式を表現論的に解明した。この恒等式をより一般化した予想式の解決を目指す。また表現論的意味付けを目指す。既に単項式対称関数、シューア関数版は知られているが, 表現論的な意味付けはない。予想式はホールリトルウッド版と見なすことが出来る。
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研究実績の概要 |
対称群周辺のスピン表現に纏わる事項を研究課題に掲げ、特に申請者の掲載論文[3,4]をより一般化した予想式の解決に取り組んでいる。 R4の実績としては、1. 論文1編投稿中、2. 新しい結果の講演、を挙げる。投稿中の論文について報告する。岡山大学の山田裕史氏、東北大学の新川恵理子氏との共同研究である。グラスマン多様体を射影空間に埋め込む条件としてプリュッカー恒等式が知られている。これはシューア関数の2次関係式にあたる。この式は、ある特殊化をすることでKP方程式系の広田表示を与える重要な式になる。申請者は掲載論文[1,2]で、ヴィラソロ代数の被約フォック表現を詳しく調べ、Q関数の微分がプリュッカー恒等式のような振る舞いをしていることに気付いていた。申請者は、この事実を一般化し、Q関数のみならず、シューア関数にもおいても成立することを示した。周知の事実であるが、シューア関数とQ関数は表現論的繋がりがある。しかし、決して同様の振る舞いをするわけではない。申請者の示した式は、少し巧くいきすぎている式のように見える。この式を統一的に捉える表現論的見方がきっとあるはずである。これは申請者の新しい研究課題でもある。 奈良学園大の安東雅訓氏と新規の共同研究を開始した。ある有名な予想式を特定の群に対して組合せ論的アプローチで示すものである。部分的な結果を得ているが執筆までに示さなければならない課題がある。R5中には解決し投稿したい。 R4は、ある程度順調に成果を出したといってよい。 ここでの参考文献番号は申請書に記載されている番号で記載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、対称群周辺のスピン表現に纏わる事項として、課題を1つ達成したことを報告する(研究実績の欄に記載)。現在審査中につき成果になるまでお待ちいただきたい。また、R4の申請から内定までの間に1編、論文掲載されたことも付け加える。最後に安東氏との新規の課題(ある有名な予想式の組合せ論的アプローチ)も解決間近であることを報告する。 申請者は掲載論文[3,4]をより一般化した予想式の解決を研究課題に挙げている。この中の一つに、申請者の[3]に関する予想(インデックスがフック分割であるステンブリッジ係数は0,1,-1に限る)がある。本年度この予想を申請者は解決した。しかし、残念なことに最近アーカイブにてこの予想を示す論文が Naihuan Jing氏により投稿された。研究課題の一部は行われてしまったと言わざるを得ない。研究対象として意味のあるものだと裏付けられたと捉え、前進したい。 Jing 氏の論文は、私が用意した手法をブラッシュアップした方法だ。頂点作用素のなす関係式を巧く構成し活用している。間違いなく申請者の課題解決の一助となるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、まず奈良学園大の安東氏との共同課題を解決したい。この課題に取り組み分割恒等式に詳しくなった。欲しい結果まで後一押しだ。議論を重ねるために数回の出張を予定している。 Naihuan Jing 氏によって、申請者の論文[4]が少し一般化された。これに対応する指標写像は、申請者の示すべき式であるホールリトルウッド多項式のレングス3に対応する関係式ではないかと考えている。まさに、申請者が欲しい式である。この論文には、この先が記されていない。申請書の研究計画は、以下のとおりである。 Jing 氏の論文を読み込むことから始め、対応する指標写像を具体的に計算することから始める。レングス2ですら簡単でないので、難しい事が予想される。きっと、q 2項係数も絡んでくるだろう。慎重に順を追って進める。当初の予定では、マクドナルド多項式までを想定していたが、まずはホールリトルウッド多項式のレングス3から解決する。
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