研究課題/領域番号 |
22K03267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 愛知工業大学 (2023) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
松本 耕二 愛知工業大学, 工学部, 教授 (60192754)
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研究分担者 |
梅垣 由美子 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (80372689)
峰 正博 上智大学, 理工学部, 研究員 (80935974)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 多重ゼータ関数 / Schur 多重ゼータ関数 / Giambelli 公式 / M 関数 / 対称積L関数 / 値分布 / Goldbach 個数関数 / ゼータ関数 / L 関数 / 対称積 L 関数 / 普遍性 / 値分布論 / 極限定理 |
研究開始時の研究の概要 |
ゼータ関数、多重ゼータ関数、L 関数は整数論において重要な役割を果たす解析関数であり、その性質を究明することは極めて重要である。本研究では主として解析的、ないしは確率論的な視点からのアプローチを試み、これらの関数の値分布の改名を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度はM関数の理論や、Schur 型の多重ゼータ関数の理論を集中的に研究した。M関数の理論においては、特に保型形式に付随する対称積L関数の対数の値分布に関して、自然な幾つかの仮定の下での、M関数を密度関数とする極限定理の証明に成功し、これを P. Lebacque 氏らとの共著論文にまとめ上げた。この場合には佐藤-Tate 型の測度が有効に働き、convolution の方法でM関数の具体表示を与えることができる。 同じくM関数の理論との関連が明らかになっている題材として、Goldbach 型の生成関数のケースがあるが、これについてはその関数体類似を初めて考察し、特に自然境界の様子が古典的な場合とは全く異なる状況を呈する、という興味深い事実を見出した。その証明には Gelfond による超越数論の定理が用いられる。 Schur 多重ゼータ関数の問題は少し異なる方向性を持つが、この方向でも重要な進展があった。Young tableau が content parametrized な場合に、Giambelli 型の公式の類似を証明し、それを用いて Schur 多重ゼータ関数の、Euler-Zagier 型多重ゼータ関数やある種のルート系のゼータ関数による表示を得た。 多重ゼータ関数についてはこれ以外に、ある種の場合の収束領域の範囲についても非自明な成果を得ている。さらにその延長線上の研究として、Mordell-Tornheim 型の多重ゼータ関数の原点での挙動について、かなり詳しい Laurent 型の展開公式を証明することにも成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため、本研究は初年度において、十分な共同研究ができなかった、という事情もあって、2年目にあたる今年度も、まだ準備的な段階にある、と言わざるを得ない。そのため、予想以上に順調な進展、とは言いづらいのであるが、それでも今年度、対称積L関数の値分布論においては、おそらくこれ以上は現時点では望み得ない、と考えられるような形にまで洗練された定理に到達できた。いくつかの標準的な予想は仮定されているが、そうした予想を仮定から取り除くのは相当に困難である。(もっとも、どこまで可能か、を考察するのは残された年度における一つのテーマになり得る。) Schur 多重ゼータ関数の理論においても、以前 anti-hook 型の場合に得られていたのと類似の表示式を、content parametrized な場合に得て、またそのために Giambelli 公式の適切な一般化を得たのは満足すべき成果であったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、現状で当初に予定していた研究はそれなりに順調に進展していると考えられるので、特に研究計画の大幅な変更は必要なく、大筋は当初予定のままで今後も推進することが最善であろう。ただし、小さな変更は随時取り入れる。実際、海外の研究協力者としてインドの D. K. Sahoo が研究に加わってきたので、彼との研究を本研究計画の一部分として追加することは今後、有益であると考えられる。そのためにインドへの出張を今後、複数回行う予定であり、その旅費を本科研費から支出することを想定している。また、ヨーロッパ(フランスなど)との交流もコロナ禍以前のような状況に戻りつつあり、従ってヨーロッパ方面への渡航旅費も必要になってくると思われる。
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