研究課題/領域番号 |
22K03269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 健人 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40779146)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | K安定性 / 極小モデル理論 |
研究開始時の研究の概要 |
近年準単項的付値を用いることでファノ多様体のK安定性の基礎理論が大いに進展した。本研究課題はこの進展を一般の偏極代数多様体にどこまで拡張できるかを双有理幾何学の観点から見定めることを目的とする。例えば一般の偏極代数多様体のK安定性も上記のファノ多様体のK安定性での成功例同様に簡略化できるのではなかろうかと期待する。
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研究実績の概要 |
ファノ多様体或いは一般の偏極代数多様体に対し、そのK安定性なる代数的安定性条件を考えることは、定スカラー曲率ケーラー計量の存在問題と関連し重要な問題である。考える偏極代数多様体がファノ多様体の場合は、付値判定法の理解の深化によって近年大きな発展を遂げたことは良く知られている。他方ファノ多様体とは限らない一般の偏極代数多様体に対しては、前述のファノ多様体のようには上手くいかず、その困難を如何にして打破するかを準単項的付値を主題として理解しよう、という試みを行っている。まずはそもそもK安定性に対し如何にして種々のテスト配位に付随するドナルドソン・二木不変量がふるまうのかを多くの例で計算した。その成果として、香川大学の四ッ谷直仁氏との共同研究で、「どの偏極でもK半安定なボット多様体は射影直線の積に限る」という結果を得て、今年度それがオンラインで出版された。また、ファノ多様体のKモジュライ空間の(境界を含めた)理解も研究の過程で重要であることを認識した。この方向では、Edinburgh大学のCheltsov氏、埼玉大学の岸本崇氏、九州大学の岡田拓三氏との共同研究である、3次元ファノ多様体のある族の全ての非特異元のK安定性を決定した論文が今年度出版された。また(これ自身は前年度以前に完成していたが)合計9人で執筆した3次元ファノ多様体に関するカラビ予想の書籍、そしてとある3次元ファノ多様体のK安定性を決定し更にAbban-Zhuangの理論に関する計算公式を導出した単著論文が今年度出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般偏極の代数多様体のK安定性は、簡単な代数多様体であっても判定が難しく、「付値判定法」のような準単項的付値の言葉での翻訳はそのままでは期待できないことが分かった。なので当初の研究プランから少しずれることになるが、ファノ多様体の場合に戻り、Kモジュライ空間の特定というアプローチで研究を進めており、その方向では現在進行中の計画を含め順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、ファノ多様体のK安定性、しかしながら個々の3次元の族に対しコンパクト化されたKモジュライ空間まで込めて理解する、という試みで研究を進める予定である。またファノ多様体上ではあるが反標準因子がいくつかの固定された豊富因子の和で書かれているような状況でのK安定性の類似についても現在研究を進めている。
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