研究課題/領域番号 |
22K03272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
木本 一史 琉球大学, 理学部, 教授 (10372806)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 表現論 / 組合せ論 / 整数論 / 数論 / 特殊関数 |
研究開始時の研究の概要 |
表現論的な不変性や構造を背景に持つ数学的対象をパラメタ変形したとき、変形の結果として現れる「ずれ」の構造、そこに由来を持つ「特殊関数や不変量」に興味がある。本課題では、アルファ行列式と呼ばれる行列式のパラメタ変形と、その特殊化であるリース行列式、および非可換調和振動子と呼ばれる量子調和振動子のパラメタ変形、特にそのスペクトルゼータ関数とを中心的な対象とする。「元来の対象物」と「そのパラメタ変形」との間の差異を反映して現れる(変形パラメタを変数とする)関数について、その具体的な計算や特徴付けを基本問題としつつ、さらにそこから派生する具体的な数論・表現論・組合せ論の問題について取り組む。
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研究実績の概要 |
本課題では表現論的構造のパラメタ変形に由来する問題を対象としている。本年度は、アルファ行列式(関連してリース行列式、帯球関数)と非可換調和振動子(特にスペクトルゼータ関数の特殊値とアペリ型数列)について以下のような研究を行った。 (1) リース行列式、対称群と長方形ヤング図形に対応する部分群の対に対する「帯球関数」、および関連する話題(有限グラフの無限族に対する正規化ラプラシアン行列のアルファ行列式やイマナントの振る舞い、ラテン方陣に関するAlon-Tarsi予想など)について研究を続けている。周縁的な話題としてグラフの二変数ゼータ関数(代数多様体の合同ゼータ関数の類似物)について具体的な計算や一般的性質についての研究を進めている。 (2) 非可換調和振動子のスペクトルゼータ関数の特殊値は「リーマンゼータ値+(パラメタの特殊化で消える)有限和の剰余項」という形をしており、剰余項の「第一項」からアペリ型数列と呼んでいる数列の族が定まる。このアペリ型数列については、漸化式、母関数の持つモジュラー性に類する性質、アペリ型数列を正規化して得られる有理数列の満たす合同関係式などを調べてきた。非可換調和振動子のスペクトルゼータ値に由来するアペリ型数列とよく似たアペリ型数列が満たす超合同関係式(高い素数べきを法とする合同関係式)について、OISTに滞在中であった University College Dublin の Robert Osburn 氏と研究を行った。目標とする予想の解決に向けて技術的な進展があったが、完全な解決はまだ遠い状況にある。この議論の中で必要となる事実のうち、簡単ではあるが興味を引く結果について論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非可換調和振動子のスペクトルゼータ値およびそこから生じる数論的問題に関してまとめた論文(査読あり)が出版された。また進行中の研究の技術的部分を抜き出した論文(査読なし)が出版された。
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今後の研究の推進方策 |
グラフの二変数ゼータ関数およびラプラシアンのアルファ行列式については具体的に、グラフのガロア被覆と絡めた計算および一般的性質の研究を進める。ガロア被覆によって構成されるグラフの無限族に着目し、そのラプラシアンのアルファ行列式の振る舞いを調べる。 非可換調和振動子のスペクトルゼータ関数については、特殊値公式がスペクトルゼータ関数そのものの数論的表示が存在しうることを示唆しているため、これを支持するような剰余項の分析を目指したい。関連する研究として、Robert Osburn 氏とのアペリ型数列が満たす超合同関係式の予想解決に向けた研究を進めたい。問題を小問題に分割してそれぞれを少しずつ攻略するという方針を採ってきているが、reduction を行う前のp-進解析的表示に立ち戻って構造の分析を行うことも検討する。
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