研究課題/領域番号 |
22K03280
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
石渡 聡 山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 非対称拡散過程 / 多様体の離散近似 / 半群の収束 / 非対称ブラウン運動 / 非対称ランダムウォーク / 熱核 / 推移確率 / 関数不等式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では次の2つの研究を平行して行う。 研究1:非対称生成作用素に関する幾何解析学の研究 リーマン多様体上のラプラシアンの場合に詳しく研究されてきた熱核の挙動やスペクトル評価など幾何解析学の研究を、ラプラシアンにドリフト項がついたような非対称生成作用素の場合に拡張する。 研究2:グラフ上の非対称ランダムウォークの研究 従来は対称なランダムウォークの場合にしか得られていなかった長時間漸近挙動の研究を、非対称ランダムウォークに拡張する。また、これらをリーマン多様体のネットの上で考え、ネットの収束のもとでの極限について研究を行う。
|
研究実績の概要 |
多様体の離散近似の理論は、最近注目されている多様体学習や数値計算理論の発展に伴い重要な研究対象である。これらを動機として今年度はComplete Riemann manifold 上の Laplacian, drift 項(Flow:流れ)、potential項(killingの意味を持つ)により与えられる作用素Lが生成非対称拡散過程の離散近似について、連携研究者である慶應義塾大学の河備教授と共同研究を行い、Lumer-Phillips の定理によりLが縮小半群の生成作用素であるための必要十分条件である drift項とpotential項が maximal dissipativity(極大消散的)であるという条件もつときに近接グラフ上に flow, killing の影響を持った (非対称)ランダムウォークを定義し、グラフを細かくしていくと非対称拡散過程(半群)に収束させることができるというタイプの極限定理を証明した。これらは河備氏との共著論文としてまとめ、現在投稿中である。また、2022年12月に京都大学数理解析研究所で開催された確率論シンポジウム等で研究発表を行い、主に確率論の専門家との意見交換によりさまざまな展開、応用が期待できることがわかった。この極限定理は近接グラフの(具体的な)列に関する極限定理であり、今後これをランダム化して多様体学習理論などへの応用が期待される結果である。また、これまでは Feynmann-Kacの公式として知られている非対称作用素により生成される半群積分を用いた表示を離散的な量による近似が可能となり、統計学をはじめ様々な応用の場面での貢献が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の河備氏との共同研究により、多様体上の非対称拡散過程の離散近似について一定の結果を得ることに成功し、論文としてまとめ投稿することができた。これは本研究課題の大きな柱の1つであり、これが達成されているということは研究が順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き河備氏との共同研究を継続し、磁場がついた場合(複素版)や、多粒子系の設定でも同じような離散近似を考察し、極限定理の研究を遂行する予定である。このために解析、確率論関連の書籍により基礎理論の確認を行う、また、関連研究会に参加し、専門家とのディスカッションにより最新情報の入手を行う。特に、流体力学極限の専門家である九州大学の角田氏、磁場付き作用素の専門家であるドイツ Chemnitz大学の Guneysu教授らからより詳細な内容について議論を交わし、研究課題の解決に向けて研究を遂行する計画である。
|