研究課題/領域番号 |
22K03285
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
井川 治 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (60249745)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 対称空間 / Hermann作用 / 対称三対 / 超極作用 |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツの数学者リーマン(1826-1866)は曲線論(1次元)・曲面論(2次元)に触発され,現在リーマン多様体と呼ばれる目には見えない高次元の空間を提起した.フランスの数学者エリー・カルタン(1869-1951)はリーマン多様体の中でも球面や平面のように特に扱いやすい対称空間と呼ばれる空間を定義・分類した.Hermannは対称空間には,現在Hermann作用と呼ばれる素性のよいリー群が働くことを見出した(1950年代).Hermann作用は可換なものと非可換なものに大雑把に分かれる.ここ10年程度に明らかにされた可換なものの研究成果を受けて,本研究では非可換Hermann作用の研究を行う.
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研究実績の概要 |
間下克哉氏(法政大学)との共同研究で以下の結果を出した.8次特殊直交群の普遍被覆群 Spin(8) にはtriality automorphism と呼ばれる位数3の外部自己同型写像 σが存在する. このσからσ作用と呼ばれる Spin(8) の Spin(8) 自身への作用が定まる. このσ作用の軌道空間を決定し,個々の軌道の性質を調べた.これは「非可換」Hermann作用の一種であり,今後の更なる発展が期待される.現在,論文を執筆中である.
入江博(茨城大学)-奥田 隆幸(広島大学)-酒井高司(東京都立大学)-田崎博之との共同研究で以下の結果を出した.ケーラーC 空間内の二つの実形が離散的に交わるための必要十分条件を申請者の定義した対称三対の用語で与えた.また,二つの実形が離散的に交わるとき,その交叉を対称三対から定まるルート系のWeyl群の軌道として記述した.これに関して二本の論文を執筆中である.
馬場蔵人氏(東京理科大学)との共同研究で以下の結果を出した.コンパクト対称三対から二重佐武図形を定義した.コンパクト対称三対から定まる二つの対合が可換の場合には,重複度付き対称三対が定まり,Hermann作用の軌道の幾何学やケーラー$C$空間内の二つの実形の交叉の研究で重要な役割を演じる.二重佐武図形から重複度付き対称三対の情報を読み取るアルゴリズムを与えた.これに関して一本の論文を投稿中であり,一本の論文を執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文をまとめるのに想定以上に期間がかかり,投稿することが出来ていないため区分を(3)とした.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた研究実績を論文にまとめ投稿する.
その後は,これまでの研究で出てきた次の問いにも取り組む.
対称R空間は,その余接束の中に,非コンパクト双対とともに埋め込まれている.余接束はパラエルミート対称空間の構造をもつ.この事実を利用して,対称R空間とその双対の間の変形について考察する.その際,群作用や対称空間の階数を与える極大平坦全測地的部分多様体の変形も考える.これにより,コンパクトまたは非コンパクトで知られているいくつかの事実を他方に簡単に移植できると期待される.
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