研究課題/領域番号 |
22K03286
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山ノ井 克俊 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40335295)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 双曲性 / 高次元ネヴァンリンナ理論 / Bloch原理 / 擬小林双曲性 / Lang予想 |
研究開始時の研究の概要 |
種数が2以上のコンパクトリーマン面は双曲的である、という古典的な事実は、現代でも多様な文脈で位置づけることができる重要な定理である。本申請課題では、この定理を一次元の一般型(複素)代数多様体上の小林擬距離の振る舞いと位置づけ、その高次元化に関する小林・Lang 予想を高次元ネヴァンリンナ理論の立場から研究する。本研究課題の最初の目標は、正則関数の単数方程式の理論に関する、1920年代のブロッホ、カルタンの古典的な結果を超えるような、より強い幾何学的主張を証明することで、それによって、本研究課題が深く古典理論に根差しつつ、それを超えていくものであることを示す。
|
研究実績の概要 |
令和4年度の研究実績は以下の通り。本研究課題の交付申請書に記載した通り、本研究課題の主な目的の一つは、(対数的に)一般型な(準)射影的な代数曲線は、リーマン面として双曲的である、という事実の高次元化を高次元ネヴァンリンナ理論の立場から研究することにある。よく知られているように、(対数的に)一般型な代数曲線は(準)アルバネーゼ写像を考えることで、(準)アーベル多様体の部分多様体となる。このような立場から、代数曲線の古典理論に関する高次元化として、本研究課題では、(準)アーベル多様体の部分多様体について研究を進めている。2022年度は、この課題について、準アーベル多様体の中の対数的に一般型な部分多様体は擬小林双曲的であることを証明することができた。ここで、準アーベル多様体というのは、アーベル多様体を代数的トーラスで拡大した代数群であり、それによって、アーベル多様体と代数的トーラスを統一的に扱うことが可能になる。代数的トーラス内で一次式によって定義される(一般型な)部分多様体は擬小林双曲的になることは1970年代に証明されていたが、実はその証明の本質的な部分は1920年代のBloch,CartanによるBorel恒等式をみたす零点を持たない正則関数の研究にあった。そして、2022年度には、Bloch原理とよばれる、複素解析の研究において重要な役割をはたしている作業仮説に基づいて研究を進めることで、準アーベル多様体内の対数的に一般型な部分多様体の擬小林双曲性を示すだけでなく、代数的トーラスの場合には、Bloch,Cartanの結果を超えるような結果を導く、より一般的な主張を証明することが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の一つのテーマは、準アーベル多様体の中の対数的に一般型な部分多様体は擬小林双曲的であることを証明することであった。さらに、これを古典的なBloch, Cartanの定理を含むようなより一般的な枠組みで証明することを目指してきた。2022年度にはこの二つの目標はおおむね達成された。以上から、当初の計画以上に研究は進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方針としては、本研究課題の交付申請書に記載した通り、アルバネーゼ次元最大の(準)射影多様体の小林擬距離の研究、およびその応用を研究する予定である。そのための研究推進方策としては、2022年度までの研究成果を大きく役立てていくことになる。具体的には、小林擬距離の研究を行う際の、単位円板からの正則写像の振舞を高次元ネヴァンリンナ理論を用いて研究する方針は、2022年度までの研究方針を引き継ぎつつ、準アーベル多様体の第二主要定理に関する、申請者のこれまでの研究成果を適時、活用して研究を実施する。
|