研究課題/領域番号 |
22K03294
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
池田 暁志 城西大学, 理学部, 准教授 (40755162)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | ミラー対称性 / ルート系 / gentle代数 / フロべニウス多様体 / 安定性条件 / 周期写像 / 三角圏 / Calabi-Yau代数 |
研究開始時の研究の概要 |
ホモロジー的ミラー対称性とは, A模型と呼ばれる幾何学的な対象の集まりと, B模型と呼ばれる代数的な対象の集まりの間に不思議な対応関係が存在するという主張である. これらの研究の中で, A模型側の幾何学的な対象の大きさや偏角(周期)という情報が, B模型側では代数的な対象の安定性条件に対応すると期待されているが, この期待は少数の場合のみにしか証明がない. そこで本研究では, A模型側の対象の周期とB模型側の対象の安定性条件が対応するメカニズムをより多くの具体例で解明することで, ホモロジー的ミラー対称性による対応関係をより精密な情報のレベルで理解することを目的とする.
|
研究実績の概要 |
今年度は、ホモロジー的ミラー対称性のB模型側に現れる三角圏の安定性条件の空間と対応すると思われるフロべニウス構造についての基本的な研究を実施した。A模型側で境界付き実曲面に対する深谷圏を考えた時、それに対応する非可換代数はgentle代数と呼ばれるクラスになることが、Haiden-Katzarkov-Kontsevichにより示されおり、近年、このミラー対称性による対応を通して、曲面の幾何学とgentle代数上の加群の導来圏の関係性の研究は活発に研究が行われている。 今年度は、このgentle代数の加群の導来圏の安定性条件の空間を考えた時、この上に構成されることが期待されるフロべニウス多様体の構造を、曲面から自然に現れる拡張ルート系に付随した不変式論を用いて構成することを目標として、共同研究を大阪大学の高橋氏、白石氏、大谷氏と共同で実施した。この不変式に付随したフロべニウス多様体の平坦計量の計算は、実験をするための一番非自明で簡単な例の計算がすでにステップ数が多く、各ステップごとの計算量も多いので手計算では厳しいものである。そこで、今年度は 科研費で高性能のPCを購入し、Pythonで全計算ステップを自動で処理するプログラムを組み、そのプログラムを用いて具体例を計算したところ、拡張ルート系からフロべニウス多様体の平坦計量が現れる様子が観察できたので、この結果を元に、現在一般論の証明を進めている段階である。また、affine cusp polynomialに関連するクラスに関しては、研究のヒントとなる論文が見つかったので、それを元に、最近、大阪大学の大谷氏と清華大学のQiu Yu氏と共に議論をスタートさせたところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初考えていた研究予定のうち、曲面に関連するクラスのミラー対称性や安定性条件に関しては、研究が進んでいるから。また、affine cusp polynomialに関連するクラスの安定性条件に関しても、ある程度方針が見えていて、現在研究プロジェクトが動き始めているから。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度、計算によって不変式や平坦計量の存在が確信でき、ほぼ方針が立った曲面から現れるルート系に付随したルート系の不変式とそこから現れるフロべニウス構造に関する研究は、来年度中に理論的な証明を与え、論文としてまとめようと考えている。また、affine cusp polynomialに関するクラスに関しては、大阪大学の大谷氏と清華大学のQiu Yu氏と共に共同でスタートした研究をこのまま継続して進めていく予定である。
|