研究課題/領域番号 |
22K03295
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
佐竹 郁夫 文教大学, 教育学部, 教授 (80243161)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | コクセター変換 / 楕円ルート系 / フロベニウス多様体 / Coxeter 変換 / 周期 |
研究開始時の研究の概要 |
鏡映群による商空間は、長い研究の歴史を持つ。 近年の弦理論に起源をもつアイデアの1つとして、この商空間はある三角圏の安定性条件の空間と呼ばれる空間から得られる、という見方がある。 この見方からは、商空間のもつ構造(Frobenius 構造)も、三角圏の安定性条件の空間から得られる概念を用いた自然な構成が望ましい。 これについて、特別な場合(有限 Coxeter 群商、楕円 Weyl 群商)に、周期と Coxeter 変換を用いた Frobenius 構造を構成したが、これは上記の意味で望ましい構成の候補となりうると考えている。 この構成の一般化及び構成の幾何学的意味付けを研究している。
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研究実績の概要 |
有限コクセター群の場合に、コクセター変換を用いて good invariant を定義したが、これについて具体例を計算し、修正中の論文に加えることができた。 楕円ルート系から得られる楕円ワイル群不変式について、admissible triplet と呼ばれるデータ(本質的にコクセター変換のデータ)を固定することで、Good invariant を定義した。これは楕円ワイル群についての商空間に入るフロベニウス構造を再定義するものであった。これについていくつか明確になった。1つは、Good invariant について、余次元 1 の場合には、Good invariant は一意的であったが、余次元が 1 でない例として、$A^{(1,1)}_1$ 型の場合に詳しく計算し、この場合には Good invariant が admissible triplet の取り方に依存し、一意的でないことを具体的に示すことができた。もう1つは、admissible triplet の存在証明について、以前は admissible triplet を実際に構成することで存在を示していたため、どこが非自明かが明確でなかったが、admissible triplet の条件を分解することで、一般的に成り立つことと非自明な部分を分離することができ、明確な議論となった。 ここには、楕円ワイル群が作用する空間について、「canonical decomposition」を見出したことが用いられる。 この分解は、複素解析的な分解ではないが canonical な直積分解であり、複素構造を用いずに定義できる楕円 Artin 群や double affine Hecke algebra へのモジュラー群作用についての研究に効果的に用いられると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究を整理することで見出した、canonical decomposition が、Coxeter 変換や Good invariant の研究に有用なだけでなく、楕円アルティン群の研究や、double affine Hecke 環の研究に資することを見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの定式化では、Good invariant を Coxeter 変換を1つ固定して議論してきたが、モジュラー群作用についても込みにして議論することが望ましい。これについて以前構築した$O(2,n)$ を用いた定式化を合わせることで研究を進めていきたい。
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