研究課題/領域番号 |
22K03297
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00401878)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 最小交差数 / △Y変換 / 結び目内在性 / Heawood 族 / 空間グラフ / 絡み目内在性 / Conway-Gordon の定理 / 分子トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
3次元 Euclid 空間に埋め込まれたグラフの位置の問題を研究する空間グラフの理論について,低次元トポロジーの立場から,基礎研究及び応用研究を行なう.主たる目的は,空間グラフの空間への埋め込みに関する外在的な情報に依らない内在的性質を,空間グラフのトポロジーと不変量による位相的方法によって解明すること,及び,化学における高分子化合物のトポロジー的研究への応用を見出すことである.具体的には,① 空間グラフの Conway-Gordon 型定理と内在的性質の研究, ② 高分子化合物の数学的モデルである線形空間グラフの内在的性質の研究,の2つを柱に据えて,空間グラフの内在的性質の解明を目指す.
|
研究実績の概要 |
1.グラフの最小交差数とは,グラフを平面にジェネリックにはめ込んだときの横断的2重点の最小個数をいう.一方,グラフの△Y変換とは,グラフの結び目内在性及び絡み目内在性を保存する性質を持つことで知られる,ある変形操作である.Heawood 族と呼ばれる有名な結び目内在グラフの族においては,グラフ K_7 に適当に△Y変換を施すことで,より最小交差数の小さい結び目内在グラフが得られる.このことに着目し,Youngsik Huh 氏 (Hanyang University) との国際共同研究によって,一般の完全グラフに施す△Y変換の列における最小交差数の振る舞いを調べて以下の結果を得た.これらの結果はプレプリントにまとめて arXiv:math.CO/2402.10633 で公開している. (1) n≧7のとき,n頂点完全グラフ K_n 上の1回の△Y変換は,グラフの最小交差数を必ず減少させる. (2) n≧7のとき,n頂点完全グラフ K_n 上のちょうど1頂点を共有する2つの3サイクルにおいて順に施す△Y変換は,いずれもグラフの最小交差数を真に減少させる.互いに交わらない2つの3サイクルにおいて順に施す△Y変換の場合は, n=7 のときに反例がある. (3) 任意の正の整数 k に対し,十分大きな正の整数 n と,K_n に k 回施す△Y変換の列が存在し,これら k 回の△Y変換はどれもグラフの最小交差数を真に減少させる.
2.研究集会「結び目理論」(2024年2月,東京女子大学)を開催し,多くの研究者との研究交流・情報交換を実施した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間グラフの内在的性質の研究という本研究課題の目的において,空間グラフの射影図と平面のトポロジーの立場から新たな知見を得ることができ,予想外の成果が上がっている.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り研究を推進する.国内外の研究集会やセミナーに足を伸ばして研究成果の発表や最新の情報の交換及び研究交流を行なう.また漢陽大の Youngsik Huh氏 との連携を継続し,今年度も国際共同研究打ち合わせを実施する予定である.
|