研究課題/領域番号 |
22K03302
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
浅岡 正幸 同志社大学, 理工学部, 教授 (10314832)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 力学系理論 / 低次元多様体 / 葉層構造 / 双曲力学系 / アノソフ流 / 低次元トポロジー / 接触幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
3次元アノソフ流は力学系理論や低次元トポロジー,葉層理論などにおいて重要な対象である.古典的に知られているもの以外にもFried-Goodman手術とよばれる方法で構成できるものがたくさんあることが知られているが,「すべての3次元アノソフ流が手術によって得られるか」というFriedによる古くからの問題は未解決のままである.本研究課題では,代表者らの最近の結果を踏まえてこの問題の解決を目指す.また,その過程で接触アノソフ流の固有の性質についての理解を深め,力学系理論,接触幾何学の両面への貢献を行いたい.
|
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,Goodman-Fried手術で古典的なものにすることができない3次元Anosov流の存在問題について研究を行った.前年度に考察した手術に関する不変量は残念ながら多くの場合には自明となってしまい,そうでない例を構成することは簡単ではないことが判明した.そのため,別なアプローチとして,Anosov流と横断的なトーラスが存在する例について,それが手術で古典的なものになったときにトーラスがどのように埋め込まれるかを詳しく調べ,Brunellaが構成した測地流に横断的なトーラスの例を調べ,トーラスで分けられた領域の数がいくらでも多い例が存在することも確認し,また,安定葉層のトーラスへの制限がReeb成分を持たないことを確認した.Goodman-Fried手術で古典的なものに出来るAnosov流で横断的なトーラスを持つものはトーラス上の葉層がReeb成分を持つものしか知られていないが,Brunellaの例においてもそうであったことになる.そこで,Reeb成分を持つAnosov流の例も存在するため,そのようなReeb成分を持つAnosov流でGoodman-Fried手術で古典的なものにできる例が存在するかという問題を設定し,そうした例を調べる第一歩として,Birkhoff切断の構成をすべく研究を行った. こうした研究と並行して,中央大学の三松氏との共同研究により,高次元Anosov微分同相写像が接触構造を保つことはないことを証明することに成功した.接触構造を保つAnosov流の存在は古くから知られている一方で,そのようなAnosov微分同相写像の例は知られておらず,Eliashbergによってその存在が期待されていたが,我々の結果によりそのようなものが存在しないことがわかったことになる.この結果は現在執筆中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に考察した不変量によるアプローチには困難が見つかったが,その一方でAnosov流に横断的なトーラスへの安定葉層の制限がReeb成分を持つことがGoodman-Fried手術で古典的なものにできることの障害となる可能性があることがわかり,そうした葉層を保つ場合を調べるという新たなアプローチが見つかった.また,Brunellaの構成を用いることで横断的なトーラスが手術後に古典的なAnosov流を持つ空間にどのように埋め込まれるかを調べることができるようになり,問題解明への具体的な手がかりも増えた.これらの理由により研究は概ね順調に進展していると考えられる. また,研究を通じて得られたAnosov力学系に対する様々な知見を応用することで,Anosov微分同相写像が接触構造を保つことがないこともわかったが,これは研究開始当初は予測しなかった成果である.
|
今後の研究の推進方策 |
Brunellaの構成をより詳しく調べることで,横断的なトーラスを持つAnosov流をGoodman-Fried手術で古典的なものにしたときに,トーラスがどのように埋め込まれているかについてを知見を得ることが次年度の研究でまず行うべきことである.得られた知見を用いて,もし安定葉層のトーラスへの制限がReeb成分を持ちえないことを示すことができれば,Goodman-Fried手術で古典的なものに出来ない例があることになる. また,逆の方向からのアプローチとして,安定葉層の横断的トーラスへの制限がReeb成分を持つ例に対して,Birkhoff切断を具体的に構成することで,その安定葉層,不安定葉層に関する理解を深めたい.そうすることで,Goodman-Fried手術で古典的なものにできるかできないかの判定ができる可能性もある.
|