研究課題/領域番号 |
22K03309
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
牛島 顕 兵庫県立大学, 国際商経学部, 教授 (50323803)
|
研究分担者 |
中西 敏浩 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (00172354)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | Cayley-Klein幾何学 / 双曲幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
多様体という幾何学的対象を幾つかの部品に切り分けて研究をするのは一般的であり、多様体の性質などに応じて様々な切り分け方(分割)が知られている。双曲多様体には「標準的分割」と呼ばれる方法が知られているが、この分割は「閉」双曲多様体には確立されていない。そこで、閉双曲多様体し対し標準的分割と呼べる分割を導入する、という将来的目標のために、具体例と一般論を調べるのがこの研究の目的である。その様な分割はディリクレ基本領域と呼ばれる多面体分割と関係すると予想しており、補助事業期間に取り組むのは、三角群に関係する双曲多様体のディリクレ基本領域の調査と、ディリクレ基本領域の分布状況の一般的性質の調査である。
|
研究実績の概要 |
双曲平面とは、定曲率-1のリーマン多様体であるが、ユークリッド平面における平行線公準の成り立たない世界として構築された。そのため、平行線に関係するユークリッド平面での定理の一部が、双曲平面では成り立たなかったり、形を変えて成り立ったりしている。 この研究では、双曲平面に作用する離散群が定める曲面のディリクレ領域を決定することを最終的な目標としており、その第一歩として離散群が三角群の場合を詳しく調べる。三角群がコンパクトな場合には、ユークリッド平面上の三角形に対するチェバの定理に対応する、双曲平面上の三角形に対するチェバの定理が重要な役割を果たして、ディリクレ領域の決定が既になされている。そこで、既知の結果をコンパクトとは限らない三角群に一般化するには、理想頂点や超理想頂点が混在する三角形に対して、双曲平面上のチェバの定理を一般化することが必要となる。なお、理想頂点や超理想頂点というのは、ユークリッド平面上の三角形に対しては生じず、双曲平面上の三角形に特有の現象である。 今年度の研究では、そのような三角形に対するチェバの定理の一般化の証明を行うために、Cayley-Klein幾何学として双曲平面を捉え、証明の方針を得ることができた。Cayley-Klein幾何学とは、射影空間に二次形式を設定することで距離や角度を定義し、幾何学を定めるものであり、双曲幾何学だけではなくユークリッド幾何学や球面幾何学も、Cayley-Klein幾何学として定義することができる。Cayley-Klein幾何学として双曲平面における、理想頂点や超理想頂点の取り扱いを詳しく調べることで、求めるチェバの定理の証明の方針を得ることができ、その成果を幾つかの研究集会で発表し専門家と議論を交わした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の前半の研究課題として設定した、理想頂点や超理想頂点が混在する三角形が生成する三角群から定まる双曲曲面のディリクレ領域を決定する研究に取り組んだ。まず、双曲平面における三角形の、チェバの定理やメネラウスの定理を、理想頂点や超理想頂点が混在する三角形に対し一般化する必要があることを確認した。この様な定理は既知の結果の組み合わせで証明することはできると思われるが、今後の発展を見越して統一的な証明を検討した。具体的には、Cayley-Klein幾何学として双曲平面を取り扱うことで、必要な統一的証明を得ることが予想できた。今年度は、この証明に取り掛かり、証明の骨子を得るところまで到達した。今年度の後半では、その成果を幾つかの研究集会で発表し、有益な意見交換を他の研究者と行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、【現在までの進捗状況】欄で記載した、証明を完成し出版することが当初の目標である。この目標が達成されれば、その結果を用いて、理想頂点や超理想頂点が混在する三角形が生成する三角群から定まる双曲曲面のディリクレ領域を決定することができるようになると期待されるので、今年度の後半にはそれに取り組む予定である。
|