研究課題/領域番号 |
22K03310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田中 利史 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60396851)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | スライス結び目 / リボン結び目 / 対称和 / 曲面 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではリボン結び目とその表示の特徴づけ及び分類を行う。リボン結び目は、1960年代から研究が盛んに行われている結び目コボルディズムの分野において、重要な研究対象であるスライス結び目の例である。「全てのスライス結び目は対称和表示を持つか」は未解決の問題であり、幾何学的な手法を用いて研究しこの問題を解決したいと考える。具体的には、結び目の補空間の曲面の幾何学的性質を調べ、リボン結び目とその表示の特徴づけ及び分類を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はリボン結び目とその表示の特徴づけ及び分類を行うことである。リボン結び目は、1960年代から世界的に研究が盛んに行われている結び目コボルディズムの分野において重要な研究対象であるスライス結び目の例である。すべてのリボン結び目は対称和表示を持つか、という未解決の問題がある。私はこれまで、3次元位相幾何学的手法を用いて対称和表示を持つリボン結び目の特徴づけに関する研究を行ってきた。 2023年度の研究では次の3つのテーマについて研究を行った。1つ目は、2橋リボン結び目がもろ手型結び目となるときの分類、2つ目は対称和表示を持つリボン結び目の部分結び目が交代結び目であるときの分類、3つ目は対称和表示を持つリボン結び目が準交代結び目となるときの分類である。 具体的な取り組みとして、もろ手型2橋リボン結び目にはどのような型の対称和が現れるかについて考察し、その特徴づけを行った。その結果として、2つのねじれ領域からなる対称和表示を持つもろ手型の2橋リボン結び目が無限個存在することを示した。また、対称和表示を持つ(非自明な)プレッツェルリボン結び目はもろ手型にならないことを示した。次に対称和の部分交代結び目が有限個であることを示し、対称和に対して部分交代数という整数値不変量を定義し、その不変量がいくらでも大きな対称和が存在することを示した。さらに、1つのねじれ領域からなる対称和表示を持つリボン結び目の集合に関して、Q多項式のある条件の下で準交代結び目が有限個しか存在しないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2橋リボン結び目がもろ手型結び目であるための必要十分条件を対称和表示を用いて与え、2つのねじれ領域からなる対称和表示を持つもろ手型の2橋結び目が無限個存在することを示した。また、対称和表示を持つ(非明な)プレッツェル結び目について、もろ手型にならないことを示した。次に対称和の部分交代結び目が有限個であることを示し、対称和に対して部分交代数という整数値不変量を定義した。そして、その不変量がいくらでも大きな対称和が存在することを示した。さらに、1つのねじれ領域からなる対称和表示を持つリボン結び目の集合に関して、結び目のQ多項式のある条件の下で準交代結び目が有限個しか存在しないことを示した。 2橋リボン結び目及び部分交代結び目に関する研究成果については、それぞれ雑誌Bull. of Korean Math. Soc. 61, No. 2, pp.421-431及び岐阜大学教育学部研究報告(自然科学)第48巻, 1-5において発表することができた。また、準交代結び目に関する研究成果についても学術雑誌に発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度については、対称和表示を持つリボン結び目について、対称和表示の変形の仕方や、リボン円板や対称球面の性質に注目し、研究を進める。具体的には次の2つのテーマについて研究を行う。1つ目は2023年度に定義した、対称和の部分交代数の性質の解明である。対称和の部分結び目の一意性や、対称和がファイバー結び目の場合、その部分結び目にどの程度ファイバー結び目が現れるかについて調べる。2つ目は自明なリボン結び目や成分数が2以上のリボン絡み目の対称和表示の分類である。リボン円板や対称球面との関係を調べることでその対称和の特徴づけを行いたいと考える。 本年度について、研究会へ参加し研究発表や情報交換をしたり、オンラインでの情報交換や研究者招致をしたりすることで研究を進めていきたいと考える。
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