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特異点の特徴づけと曲面の特異性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K03312
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分11020:幾何学関連
研究機関神戸大学

研究代表者

佐治 健太郎  神戸大学, 理学研究科, 教授 (70451432)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード特異点 / 波面 / 等長標準形 / 特異曲率 / 特異点の標準形 / D4型特異点 / 特異点判定法 / 曲面
研究開始時の研究の概要

各種の特異点の判定法を導くことができる理論構築を行い、系統的な特異点判定法を作る。同時に一般の曲面やその変換および射影に現れる特異点、表現公式で表された曲面にあらわれる特異点や波面の特異点、さらには特異点のない曲面の特徴的な点に対して写像の特異点として捉える方法を与え、判定法を用いることにより、特異性がどのような特異点から来ているのかを解析してその性質を調べる。

研究実績の概要

波面の特異点の微分幾何学的研究に関して、波面の余次元1特異点のうち、余階数2である特異点であるD4+特異点に対して定義域の微分同相写像と像域の等長写像のみを用いて特異点の式に表れる係数を可能な限り減らした式(等長標準形・標準形と呼ぶ)を与えた。これを用いて、その特異点近辺でのガウス曲率の振る舞いを調べ、ガウス曲率測度が有界であることを証明した。さらにこの特異点に接続している4本のカスプ辺上での特異曲率と法曲率の漸近挙動を調べ、標準形に表れる係数の関係によって特異曲率の符号がどのように変わるかを明らかにした。さらにこれらの関係とガウス曲率の関係も明らかにした。また、特異曲率の漸近挙動に関しては特異点曲線のパラメーターに対して何次のオーダーで発散するかを決定し、これを用いて特異曲率測度が有界であることも証明した。さらにこれをもとにガウス・ボンネ型の定理を証明した。これには通常のガウス・ボンネの定理に対してこの特異点の中心角の4倍の分の寄与があることも示している。さらに標準形の係数のうち2次のジェットで決まる係数がただ一つであることを示した。そしてこの係数を第一基本形式の係数のみで表示することにより、この係数が表す特異点の不変量が内在的であることを示した。更に高い次数の項に現れるの内在性についても検討した。
いくつかの波面でこの特異点が表れる際にこの不変量を計算し、どのような幾何学的意味があるかを検討した。また、D4-特異点に対しては標準形を複素微分を用いて与えた。これを用いて今後特異点近辺でのガウス曲率の振る舞いを調べることができるようになった。また、この特異点では微分幾何学的に重要な曲面に表れることが知られている。したがって、標準形の係数を不変量とみなし、計算することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画である波面の余次元1特異点のうち、余階数2である特異点であるD4+特異点とD4-特異点に対して標準形を与えることができた。さらに、これを用いて、その特異点近辺でのガウス曲率の振る舞いを調べ、ガウス曲率測度が有界であることを証明できた。さらにこの特異点に接続している4本のカスプ辺上での特異曲率と法曲率の漸近挙動を調べ、標準形に表れる係数の関係によって特異曲率の符号がどのように変わるかを明らかにできた。さらに当初の計画にはなかったが、特異点に接続しているカスプ辺の符号と付近のガウス曲率の関係も明らかにできた。さらに当初の計画にあった特異点の大域的な関係に関しては特異曲率の漸近挙動を調べ、特異曲率測度が有界であることが証明でき、これをうけてガウス・ボンネ型の定理を証明した。また、標準形の係数のうち2次のジェットで決まる係数がただ一つであり、この係数を不変量とみて、その内在性を論じた。これにより、さらに高い次数のジェットで決まる他の係数が内在的か外在的かに集中できることになった。
同じような性質を持っていると思われるD4-特異点に対しては標準形を複素微分を用いて与えることができ、これを用いて今後特異点近辺でのガウス曲率の振る舞いを調べることができるようになり、微分幾何学的に重要な曲面に表れる特異点の幾何学をより調べられるようになった。これらによって今後の研究の方針を立てやすくなった。
これらのことから研究は概ね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

引き続き研究課題を達成するために曲面に現れる代表的な特異点の判定法を与え、特異点の微分幾何学の研究を行う。そのために当初の計画に従い、まだ判定法と標準形が与えられていない特異点に対して特異点の判定法と特異点の像域の等長写像のみをもちいた標準形の研究を行う。余階数1の特異点に関してはこれまでの研究で概ね満足の行く結果が得られているので、今後は余階数2の特異点をさらに研究する。また、近年動く特異点に対して動くパラメーターを取り込んだ研究が行われ、興味深い成果が報告された。波面の特異点も余次元が1のものは1パラメーターで動くのがジェネリックな状況であり、波面の特異点に対して同種の研究は非常に興味深いため、この研究を受けて新たな研究課題として取り組む。また、余階数2の特異点のモジュライの幾何学的意味は未解明な部分が多く、様々な微分幾何的性質との関連を今後調べる。また、余階数2の特異点も1パラメーターで動くのがジェネリックな状況であるため、これも動くパラメーターを取り込んだ標準形を速やかに作る必要がある。
曲面上の曲線と枠を用いた可展面に関して、カスプ辺を通る曲線に対してもある程度の研究が可能であることがわかってきた。カスプ辺の特異点集合と退化方向との接触度合いとその曲線に沿う枠の幾何学の関係を調べる。
ミンコフスキ空間で同様のことを考えると、ホロ円が関係した線織面ができ、その不変量は与えられた枠付き曲線のホロ円的幾何学に関する情報を表す。ミンコフスキ空間でのカスプ辺に対して同様の研究を行う。加葉田氏・長谷川氏と研究中の曲面の射影に現れる特異点と射影から作られる柱面の接触との関係について、射影に現れる特異点がカスプとなる場合に高次のカスプを持つ場合にまだ解明すべきことが残っており、この研究も推進する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Valencia University(スペイン)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Warszawa University of Technology(ポーランド)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Sao Paulo State University(ブラジル)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] サンパウロ州立大学/サンパウロ大学(ブラジル)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] バレンシア大学(スペイン)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Symmetries of cross caps2023

    • 著者名/発表者名
      A. Honda, K. Naokawa, K. Saji, M. Umehara, K. Yamada
    • 雑誌名

      Tohoku Mathematical Journal

      巻: 75 号: 1 ページ: 131-141

    • DOI

      10.2748/tmj.20211203

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Legendrian dual surfaces of a spacelike curve in the 3-dimensional lightcone2022

    • 著者名/発表者名
      Saji Kentaro、Yildirim Handan
    • 雑誌名

      Journal of Geometry and Physics

      巻: 179 ページ: 104593-104593

    • DOI

      10.1016/j.geomphys.2022.104593

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] The axial curvature for corank 1 singular surfaces2022

    • 著者名/発表者名
      Oset Sinha Raul、Saji Kentaro
    • 雑誌名

      Tohoku Mathematical Journal

      巻: 74 号: 3 ページ: 365-388

    • DOI

      10.2748/tmj.20210322

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Flat surfaces along swallowtails2022

    • 著者名/発表者名
      Shyuichi Izumiya, Kentaro Saji, Keisuke Teramoto
    • 雑誌名

      Kobe Journal of Mathematics

      巻: 39 ページ: 63-80

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 波面のD4特異点の幾何2024

    • 著者名/発表者名
      佐治 健太郎
    • 学会等名
      特異点論及びその周辺分野の深化と異分野への応用
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Geometry of singular surfaces and curves 12024

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Saji
    • 学会等名
      WORKSHOP on Algebraic and Analytic Singularities
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Geometry of singular surfaces and curves 22024

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Saji
    • 学会等名
      WORKSHOP on Algebraic and Analytic Singularities
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Geometry of singular surfaces and curves 32024

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Saji
    • 学会等名
      WORKSHOP on Algebraic and Analytic Singularities
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Geometry of D4 singularities of fronts2024

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Saji
    • 学会等名
      WORKSHOP on Algebraic and Analytic Singularities
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Geometry of central singular point of D4-plus bifurcation of fronts2024

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Saji
    • 学会等名
      International Workshop on Singularities in Geometry and Applications
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Criteria for sharksfin and deltoid singularities from the plane into the plane and their applications2023

    • 著者名/発表者名
      佐治健太郎
    • 学会等名
      位相幾何・微分幾何及びその周辺分野への特異点論の応用
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Geometry of D4 singularities of fronts2022

    • 著者名/発表者名
      佐治健太郎
    • 学会等名
      Singularities of Differentiable Maps and Its applications
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 研究費と得られた主な成果

    • URL

      http://www.math.kobe-u.ac.jp/HOME/saji/math/kaken.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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