研究課題/領域番号 |
22K03317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
蔦谷 充伸 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (80711994)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 高次ホモトピー可換性 / 擬トーリック多様体 / 非コンパクト多様体 / 指数定理 / モノイドの分類空間 / 高次ホモトピー構造 / ホモトピー正規性 / A無限大空間 / ファイバーワイズホモトピー / 高次ホモトピー正規性 |
研究開始時の研究の概要 |
初等的な代数学で学ぶように,群の部分群による商は一般には自然な群構造を持たないが,正規部分群による商は自然な群構造を持つ.これはありとあらゆる場面で用いられる極めて基本的な性質であるが,実際には「正規部分群」という仮定を緩めたい場面がしばしばある.本研究では群として位相群をとった場合に,「正規部分群」の条件を「ある程度の摂動を許す」ように条件を緩めたとき,どの程度同じような結果が成り立つかを調べる.特に「ファイバーワイズホモトピー論」という古典的な代数トポロジーの道具で計算可能な世界の問題に帰着させ,種々の計算を実行する.
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研究実績の概要 |
本年度は主たる課題であるホモトピー正規性についてはあまり進展させることができなかった。一方で関連する問題である高次ホモトピー可換性、非コンパクト多様体の指数理論、モノイドのホモトピー論に関していくつか進展があった。 1.多様体の基点付きループのなす空間はホモトピー論的には位相群とほぼ同じものとみなすことができる。基点付きループ空間のホモトピー論的扱いは測地線の理論などと関連し重要であるが、そのホモトピー的性質についてはまだ理解されていないことも多い。特に本研究では特定の多様体のクラスに関する基点付きループ空間の高次ホモトピー的性質を、共同研究で調べた。とくに、擬トーリック多様体とよばれるクラスの多様体に対し、通常のホモトピー可換性については完全に決定し、高次ホモトピー可換性についても完全ではないが「これ以上の高次可換性は持ちえない」ということをある程度決定した。 2.前年度に共同研究でPoincare-Hopfの定理を非コンパクト多様体に一般化したが、同様の設定でAtiyah-Singer型の指数の研究を進めている。今回は作用素の解析的な取り扱いが必要なため、少し時間がかかっているが、John Roe氏らが予想したMorse不等式の証明につながるような方針で研究を続ける予定である。 3.群の分類空間と同様の構成でモノイドの分類空間も考えることができるが、モノイドの分類空間については、任意の弧状連結空間の弱ホモトピー型が適当なモノイドの分類空間として実現できることがわかっているのみといってよく、具体例やモノイドの性質と分類空間のホモトピー型の間の関係など、わかっていないことが多い。いくつかの具体的な空間を実現するモノイドは計算機による大規模な計算なども用いつつ共同研究により発見できたが、よりまとまった結果が得られるよう研究を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は体調がすぐれなかったなどの問題があり、単独での研究(共同研究については意見交換の中から得られたものをまとめるなどそれなりに成果があった)や研究のための出張は十分に進めることができなかった。特に、ホモトピー正規性とイデアルの関係を明らかにすることを予定していたが、こちらについてはほとんど手を付けられていないので、次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでに記した通り、指数理論とモノイドの分類空間については研究の途上であるので、継続する。また、高次ホモトピー正規性は何らかの意味でイデアルと関係するはずであるが、そのことも明らかにしたい。 1.指数理論についてはJohn Roeの非コンパクト多様体の指数定理の精密化、Morse不等式の証明などを目指して研究を進める。有界数列のcoinvariant groupに着目するのが我々の研究の独創的な点で、今回もその方向性で進めている。 2.モノイドの分類空間についてはモノイドの表現論などの理論を援用しつつ一般論の観点から具体例をある程度のクラスで得ることを目指している。必要に応じて計算機による計算例なども見ながら、進めていく。 3.高次ホモトピー正規性とイデアルの関係は通常のホモトピー論でもある程度の結果が得られると予想しているが、有理ホモトピー論と相性が良いだろうと予想している。その観点から一般論を構築し、意義深い具体例を得ることを目指していく。 あわせて、得られた成果の国内外での発表も進めていきたい。
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