研究開始時の研究の概要 |
率直に言うと近い将来の予想が全くつかない現状では,共同研究者とのコミュニケーションのための外国出張,セミナー等ができず研究を困難にさせている.しかし本研究の達成のためには,当面はGを特徴づける上記に示した枠組みを完成させる.まずは微分コホモロジーH(G, C(X,R+))の消滅性について,現代流に層理論的解釈から発して可微分連続コホモロジーの消滅定理を構築していく.最初のステップは,Gがコンパクトならば消滅性は成り立ち,次にG-作用が固有なら,可微分スライス定理とShapiroの補題を利用して消滅性がでる.とくに可微分Shapiroの補題の構成など可微分層に変換する議論が必要になる.
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研究実績の概要 |
多様体X上の可微分G-作用が非固有であるとき標準幾何構造をもつ多様体に一意化されるという視点に立って継続的に研究してきた.今回の研究では,可縮空間Xに群Gが固有(proper)に作用しているとき,(G,X)の一意化,幾何剛性の観点から調べる.具体的に無限次元アーベル群Cを層係数に持つ微分コホモロジー群H^*(G,C)を導入し,そのコホモロジー群の消滅が与えるときの幾何学的解釈を試みた.特にリー群GがXに固有に作用するならばH^*(G,C)=0を示した.今年度の研究の一環として(標準的)Parabolic-構造を考え,topology条件から閉非球形parabolic多様体の一意性を調べた.古典的Parabolic-構造としてそれぞれCR構造,四元数コンタクト(qc)構造が得られる.parabolic構造を備えたコンパクト多様体Mに対して,その構造を保つ変換群Aut(M)がある.CR構造を与える部分束Dに対して接束TMを補足する1次元Reeb ベクトル場ξがある.ξがつくる1径数群がS^1でAut(M)に含まれるとき,Mはstandard CR-多様体という(同様に余次元3のqc部分束Dを補足する3個のReeb ベクトル場がAut(M)に含まれる3次元T^3を生成するとき,Mはstandard qc-多様体と呼ばれる.)次の結果を示した.定理1. X/πをコンパクト非球形standard CR-多様体.もしπが有限指数の可解群をもつならばX/πは標準Heisenberg infra-nil多様体N/Δに微分同相である. 定理2. X/πをコンパクト非球形standard qc-多様体とするとき,X/πはstandard qc-構造をもつ4元数Heisenberg infra-nil多様体 M/Δにqc-同型である. ここで,定理2はstandardという条件だけで決まる.
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