研究課題/領域番号 |
22K03321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉岡 朗 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 教授 (40200935)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 変形量子化 / 収束するstar積 / 相互変換(intertwinner) / star積による指数関数 / 発散級数 / 非可換幾何学 / シンプレクティック幾何学 / ポアソン幾何学 / 複素解析関数 |
研究開始時の研究の概要 |
形式的冪級数ではなく、定量的な問題を扱うことのできる、変形パラメータが数の場合を考える。本計画において、変形パラメータに関し収束する変形量化の代数を中心に研究する。変形量子化の代数では、作用素を用いることなく関数と変形された関数の積を用いてさまざまな量子的な関係式を扱うことができる。収束する変形量子化において自然に発生する特異点、さまざまな関数の量子変形及びその関数等式について幾何学的な視点から研究する。これらの変形量子化代数の幾何学への応用、物理学への応用を研究する。
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研究実績の概要 |
複素ユークリッド空間上の関数に、変形パラメータに関して収束するstar積を導入する。star積は変数の個数と等しいサイズの複素定数行列を表示パラメータ(変形のパラメータとは異なる)とする集合をなす。特に、ある増大度をもった関数の族でこれらのstar積は収束して、それぞれFrechet代数となる。これをstar積代数と呼ぶ。これらのstar積代数のあいだに同型写像が存在する。この写像は物理学における作用素の順序変換公式を数学的に一般化したものであり、2階の微分作用素を形式的に指数は関数の肩にのせて構成される。これによりstar積の集合に同値関係を入れることができる。しかし、増大度が2以下である時は上記の通りであるが、物理学・幾何学などにおける重要な作用素は増大度が2+ε(任意のε>0)の関数に相当する。この増大度を持ったstar指数関数は存在するが大域的には特異点を持つ。同様にこれらの重要な指数関数の間に相互変換が定義されることが示されるが、一方、同じく大域的に考えると特異点を持つことが示せる。1変数の場合に、この相互変換の特異点において漸近級数を対応させさらにこの漸近級数に対してボレル変換を行いこれを漸近級数とする解析関数を得ることができる。これと今までに明示的に得られている±の任意性をもつ複数の相互変換を比較することが可能である。これを通して、相互変換およびstar指数関数についての理解を深めることができるという視点を得た。star積の応用としてある量子力学系の相空間におけるMarsden-Weinstein symplectic簡約を考える。今まで、このstar積の簡約は一般論として構成が与えられているが表示が複雑であった。これに対し相互変換(特にorderingの変換)を行うことにより明確な表示の可能性が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収束star積による関数の変形という視点で、star積変形された関数の特異点における漸近展開を考える方法に気づき具体的な場合にその分析を行なった。これによりstar積指数関数の特異点についての考察がより明確になる。その意味で順調に進んでいると言える。一方でコロナの影響によりブルガリアの研究会の開催時期が変更あるいは状況により延期としたこと、およびポーランドの研究会が現在の国際情勢の影響を受けて会場の変更等によりややに計画に遅れが生じている。コロナ等の影響は徐々に平常に戻りつつあり、会場の変更、連絡手段の多様化などの対応をとることにより修復可能である。
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今後の研究の推進方策 |
得られた結果を論文、口頭発表等で公開していく。漸近解析の手法を取り入れstar積関数の特異点の研究に応用していく。コロナ等の影響が多少残っているが平常に戻りつつあり、非可換代数の幾何学・数理物理学への応用研究の進歩発展に遅れないように、研究打ち合わせおよび情報交換等をさまざまな方法をとることにより状況に対応し、研究計画を推進する。
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