研究課題/領域番号 |
22K03325
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
佐野 友二 福岡大学, 理学部, 教授 (00399792)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | チャウ形式 / 判別式 / フルヴィッツ形式 / 標準ケーラー計量 / 安定性 / 超判別式 |
研究開始時の研究の概要 |
空間(多様体)の分類問題は幾何学のみならず物理などの幅広い観点から重要な問題の一つである.分類を行なった場合,空間の見本となる標準的なモデルが現れるが,そのようなモデルは曲率に関する標準的な条件を満たすような計量(標準計量)を持つことが期待される.この研究では空間の標準計量と安定性と呼ばれる性質が同値であるという予想をもとに,空間が持っている代数的な情報(チャウ形式・超判別式など)の性質を特徴付けることで,「標準計量とは何か」という問題に対して答えを見つけていくことを目的とする.
|
研究実績の概要 |
本研究は,射影代数多様体に付随する多項式(チャウ形式,判別式,超判別式,フルヴィッツ形式)に対する(特殊)線形群の作用を調べることで,射影代数多様体上の標準ケーラー計量と安定性の関係を理解することを目標としている. 当該年度において Gelfand-Kapranov-Zelevinsky の理論を用いて超判別式多面体を求めることを目標とした.チャウ形式や判別式はグラスマン多様体の超曲面の定義多項式である.一方で,超判別式は射影代数多様体と射影空間の直積の判別式であるが,ケーリー・トリックを用いると,チャウ形式や判別式同様にグラスマン多様体の超曲面の定義多項式に変換される.この多項式は,最近になり Sturmfels 氏によりフルヴィッツ形式として研究されていた.以上を踏まえて,以下の研究成果を得た.大楠氏(当時,福岡大学)との共同研究において,GKZ ベクトルと massive GKZ ベクトルの中間物(フルヴィッツ・ベクトル)を定義した.さらに,トーリック曲面において,フルヴィッツベクトルの凸包がフルヴィッツ多面体(重み多面体)に含まれることを示した.その後,S. Paul 氏の K エネルギー汎関数の公式とトーリック多様体における Boucksom-久本-Jonsson の非アルキメデス版 Donaldson-二木不変量の公式を組み合わせることで,滑らかな射影代数多様体において,フルヴィッツベクトルの凸包がフルヴィッツ多面体と等しいことを示すことができた.これにより,今まで以上に,トーリック多様体において超判別式多面体(=フルヴィッツ多面体)の具体的な計算が可能となる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トーリック多様体の超判別式(=フルヴィッツ形式)の重み多面体を特徴づけるベクトルを見つけることができた.これにより,今までは計算量が多くなるために計算できなかった例に対して,超判別式の重み多面体の計算をすることができるようになった.これは当初計画していた目標であり,研究は予定通り進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
ここまで予定していた通りに研究が進んでいることを踏まえ,今後も計画通りに研究を行う.トーリック多様体のチャウ多面体と超判別式多面体(=フルヴィッツ多面体)は頂点の数やファセットに共通した性質があることが具体例を通じて見ることができている.今後は,低次元の具体例の計算を積み上げた上で,これらの多面体の性質を見つけていく.これにより線形群のチャウ形式・超判別式への作用を調べるきっかけを掴む.
|