研究課題/領域番号 |
22K03333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
竹居 正登 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60460789)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ランダムウォーク / パーコレーション / 極限定理 / 格子確率モデル |
研究開始時の研究の概要 |
『過去は忘れ,現在を見て次の未来をきめよう』…このような生きざまを抽象化した確率過程はMarkov過程と呼ばれ,大きな理論に発展している.一方,グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」では道しるべとしてパンくずを落として歩いたが,それを鳥が…ついばまなかったらどうなっただろうか? このような『自己の軌跡全体が推移確率に影響を与えるランダムウォーク』の解析に有効な理論を構築することは重要な課題である.過去の行動が与える影響の強さに応じてウォーカーの長時間挙動に大きな違いが生じる点に特徴があるが,本研究計画ではスポンジのような多孔質媒質への流体の浸透における相転移現象との関連性を重視しながら調べてゆく.
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研究実績の概要 |
研究計画に従って時間的・空間的に相互作用をもつ確率モデルの研究を進めた.その結果,(1) ファーストパッセージパーコレーション問題における極限定理,(2) 記憶のあるランダムウォークに対する極限定理,(3) 記憶のあるランダムウォークの極限定理を応用した至る所微分不可能な連続関数の性質の研究について新たな知見を蓄積することができた.特に,(2)のテーマについて得られた成果について述べる. Elephant random walk with stopsは,"step-reinforcement"と呼ばれる仕組みにより推移確率が変動する離散時間ランダムウォークであり,左右の隣接点に移動する他,その場で留まることも許したものである.「その場で留まる」確率rを固定したときに,記憶と同じ向きに進む度合いを表すもうひとつのパラメータpに応じて3つの異なる相が生じるが,r>0の場合,r=0である通常のelephant random walkとは量的にも質的にも異なる極限挙動を示すことがBercu (2022)等によって示されている.横浜国立大学の秋元達哉氏・谷口恵祐氏と共同で,r>0の場合の長時間挙動を記述する極限定理について研究した.時刻nまでに訪問した点の総数の増大度について研究し,r,pに応じて多様な挙動が生じることを示した.また,r>0の場合に時刻nまでにウォーカーが移動した回数と時刻nでのウォーカーの位置の相関係数について調べ,ある種の特別な状況を除いてはpに応じてn→∞での挙動に3つの異なる様相が見られることを証明した.この成果を論文としてとりまとめているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パーコレーションにおける極限定理の精密化や自己の軌跡が推移確率に影響を及ぼすランダムウォークの極限挙動については,研究の進捗が計画よりもやや遅れている感があるが,これまでに得られている成果をとりまとめつつ,基本に立ち返って地道な研究を推進している.これによって,今後の研究につながる考察と,関連して取り組むべき課題を蓄積できている.記憶をもつランダムウォークの一種であるエレファントランダムウォークや,この研究から派生した微分不可能な連続関数の研究については,当初計画に含まれない方向にまで研究の幅が広がっている. 以上のことから,総合的に判断して「おおむね順調に進展している」と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
パーコレーション・強化型ランダムウォークの長時間挙動を記述する種々の極限定理について,本年度までの積み上げをさらに推し進めて新たな成果を得ることを目指す.とくに,格子点のランダム彩色に伴うファーストパッセージパーコレーション問題における最適経路の性質の解明についてこれまで蓄積してきた考察をさらに深めたい.強化型ランダムウォークに関しても,木グラフ上のモデルを中心に,さらに精密な極限定理が得られないか考察を続ける.これらを両輪とした研究推進により,パーコレーションにおける極限定理の精密化への道すじをつけてゆく. これらの研究を推進するために,最新の数学書を購入し情報を収集する必要がある.また,パーコレーションや記憶のあるランダムウォークについて活発に研究している国内外の研究者を訪問・招聘して意見交換を行なう.得られた成果については国内外の研究集会において発表し,参加者と討論することでさらなる深化を目指す.
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