研究課題/領域番号 |
22K03338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
貞末 岳 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40324884)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マルコフ半群 / マルティンゲール |
研究開始時の研究の概要 |
マルコフ半群に対する実解析・調和解析的研究は古くから行われており、現在も活発に研究されているが、実解析・調和解析的には基本的な問題である分数べき積分作用素や Orlicz 空間・Morrey 空間などの研究は、マルコフ半群という枠組みでは系統的に行われていない。そこで、本研究では「マルコフ半群に付随する一般化分数べき積分作用素」、「マルコフ半群に付随する Morrey 空間」、「マルコフ半群に関する交換子」の3つに焦点を絞って研究を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は「マルコフ半群に付随する分数べき積分作用素や Orlicz 空間・Morrey 空間のような実解析・調和解析的基礎理論はどこまで進めることができるのか」という学術的な問いを追及することを目的とする。当該年度では、マルコフ半群に付随する一般化分数べき積分作用素の定義を与え、その Orlicz 空間での有界性を調べ、標準的な条件の下での有界性を、状態空間にほとんど仮定を置かない形で示した。また、確率微分方程式を用いる確率解析の手法を用いて Heisenberg 群に適用し、この場合には条件が必要十分であることまで示した。さらに従来知られている2倍条件を持つ測度距離空間での一般化分数べき積分作用素にも、この必要十分条件を考察し、従来の結果を少し拡張した。そしてこれらの結果を Taiwanese Journal of mathematics 誌に発表した。 この研究の意義として、マルコフ半群の理論において見過ごされていた実解析・調和解析的研究を行ったことがある。さらにマルティンゲール不等式から得られる最大不等式が重要な役割を果たしており、マルティンゲール理論が既存の実解析・調和解析的研究を拡張する端緒が得られたことにも意義があると考えている。そして具体的な応用では確率微分方程式を用いる確率解析の手法が有効であることを示すことができている。また、マルコフ半群では状態空間にほとんど仮定を置かないことが長所となり、この方向で従来の一般化分数べき積分作用素の理論を拡張したことも、重要と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画で、当該年度の目標としていたマルコフ半群に付随する一般化分数べき積分作用素の研究を完成することができ、論文を Taiwanese Journal of mathematics 誌に発表することができた。 また、マルコフ半群に付随する Morrey 空間についても、発表には至っていないがノルムの基本的な性質などの研究に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
まずはマルコフ半群に付随する Morrey 空間について、その前双対空間をブロック空間として得ることを目指す。つづいてこの Morrey 空間において、マルコフ半群に付随する最大関数の有界性を示すことを今年度の目標とする。また、この Morrey 空間における分数べき作用素や交換子の研究にも着手しておきたい。 以上の研究について障害があれば、研究集会等に出席し、マルコフ半群に付随する一般化分数べき積分作用素の研究で協力いただいた茨城大学の中井教授など、他の研究者の意見交換を行うことを考えている。
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