研究課題/領域番号 |
22K03347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
和地 輝仁 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30337018)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 概均質ベクトル空間 / レフシェッツ性 / ゴレンスタイン環 / 複素鏡映群 / 相対不変式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多項式で生成されるアルチンゴレンスタイン環と呼ばれる代数的対象が、レフシェッツ性と呼ばれる幾何由来の性質を持つかどうかを調べることを目的とする。より詳しくは、多項式として、行列式やパフィアンのような、概均質ベクトル空間の相対不変式となっているものについて考え、研究の手法として、可換環論の他に、リー代数表現論や、概均質ベクトル空間の理論も活用する。
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研究実績の概要 |
本研究は、概均質ベクトル空間の相対不変式から生成されるアルチンゴレンスタイン環のレフシェッツ性の研究を行うが、まず、可換放物型放物型概均質ベクトル空間から生成される場合について、令和4年度から準備していた論文を作成、投稿していたが、当該年度に受理された。これは、京都大学の大学院生であった長岡氏との共著論文であり、レフシェッツ性を持つアルチンゴレンスタイン環の系列をいくつか与えたことになる。。研究費を活用して、令和5年9月の日本数学会秋季総合分科会函数解析学分科会の一般講演で発表した。 また、令和4年度から引き続き、放物型ではない概均質ベクトル空間の研究として、グラフのキルヒホッフ多項式が関係する概均質ベクトル空間を研究した。特に、どのようなグラフのキルヒホッフ多項式ならば何らかの概均質ベクトル空間の相対不変式になるかについて、十分条件は既に得ていたため、それが必要条件でもあることの証明を、城西大学小木曽氏、統計数理研究所中島氏と協力して進めた。しかし、数回の打合せも行ったが証明の完了には至っておらず、引き続き研究を行う必要がある。 さらに、多項式から生成されるゴレンスタイン環のレフシェッツ性に関連して、複素鏡映群の余不変式環のレフシェッツ性について、既に結果を投稿中であったが、その後、複素鏡映群の基本不変式に関する新しい知見や、コンピュータプログラムの修正も取り入れ論文を改良し、現在も投稿中である。これは、計算機を活用した結果であり、計算機では計算しきれない大きな例1つだけが未証明で残っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
集会の開催や出張がほぼ平常時に戻り、研究打合せが大きな障害なく行えるようになったため、着実に研究も進展した。令和5年度には、研究課題に関連するシンポジウム、数学会等の集会にも参加し、研究発表も行えた。論文については、本研究の研究期間中にこれまで3件の論文を投稿し、そのうち1件が受理された。キルヒホッフ多項式に関連する進行中の研究についても、証明に向けて大きな進展が見られた。想定していた状況よりもはっきりと進んでも遅れてもはいないので、「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
グラフのキルヒホッフ多項式が、いつ何らかの概均質ベクトル空間の相対不変式になるかについて、条件の十分性は既に示しているので、引き続き必要性についての証明を進める。その後、相対不変式であるようなキルヒホッフ多項式から生成されるアルチンゴレンスタイン環がいつレフシェッツ性を持つかの研究に移る。 一般のキルヒホッフ多項式から生成されるアルチンゴレンスタイン環がいつレフシェッツ性を持つかについては、かなり強い条件を満たすキルヒホッフ多項式が、レフシェッツ性を与えるという既知の結果があるが、これを発展させる意味もある。このテーマについては、小木曽氏、中島氏との打合せを必要に応じて行う。学会等の集会への参加・講演も行いたい。 また、数学会や表現論シンポジウム等への参加についても研究費を活用し、本研究の課題の進展に努める。また、令和5年度までの研究では、計算や証明に計算機をかなり活用したこと、また、多項式から生成されるアルチンゴレンスタイン環がいつレフシェッツ性を持つかについての実験も、計算機の活用が必須であることから、場合によっては、計算機の環境の充実に研究費を活用することも検討する。
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