研究課題/領域番号 |
22K03355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
神本 晋吾 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 講師 (10636260)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 完全WKB解析 / リサージェンス理論 / Voros 係数 / Stokes グラフ / Resurgence 理論 / Borel 総和法 / Stokes 現象 / Mould 解析 / WKB解析 |
研究開始時の研究の概要 |
Resurgence 理論とは、Borel 総和法に基づいた漸近解析の理論であり、Jean Ecalle 氏により創始された。この理論を用いることにより、微分方程式の形式解などの形式的対象から、Stokes 現象などの解析的情報を引き出すことが可能となる。 本研究では、この Resurgence 理論における重要な解析手法の一つである Mould 解析の手法を発展させ、WKB解析などへの応用を図る。
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研究実績の概要 |
完全WKB解析において、WKB解の Borel 変換像の特異性の解析は、接続公式を議論する上で重要となる。そのため、理論の黎明期より、これらの特異点がどのように現れるかについては大きな問題となっていた。特に、Ecalle 氏によるリサージェンス理論を適用する上での前提とされている、WKB解のリサージェンス性に関する予想については、今尚重要な未解決問題として残っている。この問題については、以前から D. Sauzin 氏(パリ天文台)と F. Fauvet 氏(ストラスブール大学)と共に長く取り組んできていたが、2023年度は、多項式ポテンシャルに対し、以下の Stokes グラフに関する非退化性条件を満たす場合に、WKB解、及び、Voros 係数のリサージェンス性の証明を行った:1)全ての変わり点は単純である。2)退化した Stokes 曲線が、同時に2つ以上現れない。 リサージェンス性の証明には、これらの Borel 変換像の特異点の現れ方を明確に捉える必要がある。しかしながら、Borel 平面上で見ると、これらは一般に稠密に現れうるため、この解析は困難なものであった。本研究では、リサージェント級数の Borel 変換像の特異性を記述する上で重要となる、endless リーマン面と呼ばれる、複雑な分岐点の構造をもつリーマン面を、超楕円曲線上の曲線の交差理論を援用することにより、Stokes グラフの情報から明示的に構成し、実際にWKB解、及び、Voros 係数の Borel 変換像が、このリーマン面上の解析関数を定めることを示した。この結果に関しては、現在論文の執筆を行なっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当面の大きな課題であった、WKB解のリサージェンス性に関して、多項式ポテンシャルの場合ではあるが、明確な解答を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当面は、多項式ポテンシャルの場合に得られた、WKB解のリサージェンス性に関する論文の執筆に注力したいが、ポテンシャルが有理関数の場合にも、この結果の拡張を図っていきたい。この場合にも、多項式ポテンシャルの場合と同様の方法により、問題の解決ができると考えているが、Stokes グラフの複雑さや、解析的な部分で技術的な問題があるため、これらの問題点についても解消していきたい。
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