研究課題/領域番号 |
22K03357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
半田 賢司 佐賀大学, 理工学部, 教授 (10238214)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | Poisson-Dirichlet分布 / 点過程 / 生成作用素 / 相関関数 / 確率母汎関数 / 可逆分布 / 凝結 / 分裂 / 定常分布 |
研究開始時の研究の概要 |
凝結や分裂の現象は,自然界に見られる現象における根本的な動的要素である.それらは互いに双対とも言うべきものであり,また時間反転とも言える.このような現象に対する主だった2つの数学解析の枠組みとして,関数方程式(系)モデルと,ランダムな動的要素を持つモデル化があるが,本研究ではそれらの間に密接な繋がりを見出すことで新たな研究の展開を目指す.言ってみれば,汎関数解析と確率解析を融合したアプローチである. 特に重要なテーマは,凝結や分裂の現象を記述するモデルで双対性・可逆性・エルゴード性が成立する場合,何がそれぞれの責任を負っているかを汎関数解析と確率解析の両方の言葉で同定し,理解を深めることである.
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研究実績の概要 |
Bertoin [Combinatorics, Probability and Computing, 2008] の可逆な凝結・分裂過程モデルにおいては,2パラメータPoisson-Dirichlet分布のパラメータ(α,θ)でαが正の場合に限定されたもののみが可逆分布となる.実はそれよりも前に,α=0の場合のみに限定したPoisson-Dirichlet分布を可逆分布として持つ凝結・分裂過程がMayer-Wolf, Zeitouni, Zerner [Electron. J. Probab., 2002] によって議論されていた.そこで,これら2つのモデルの関連性を無限次元汎関数解析の視点で考察した. まずは,Bertoinの可逆な凝結・分裂過程モデルにおいて正のαの値を0に近づける極限において何が起こるかを,適当な汎関数(生成作用素に相当)の漸近挙動を介して見た所,適切なスケール極限の下で,Mayer-Wolfらによって議論されたモデルの対応物へは収束せず,極限は別の表示をとることが判明した. そこで,Bertoinの可逆な凝結・分裂過程モデルにどのような修正を施せば,同様のスケール極限の下でMayer-Wolfらによって議論されたモデルの生成作用素が導かれるかを議論した.その結果,Bertoinのモデルにおける分裂のジャンプレートを各クラスターサイズに依存したものへと変えるとともに,凝結の操作においても各クラスターサイズに依存したものへと変えることが適切な修正となる,といった結果が得られた.この概要については,3月に開催された佐賀大学ワークショップにおいて報告を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
結果としてまだ不足の点がある.適切に修正されたモデルにおいても2パラメータPoisson-Dirichlet分布が可逆分布となっていることについて,Palm分布族や確率母関数を通じた明快な説明が得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
可逆性のみならず,双対性にも視野を広げて,統一的な観点で議論する.その際基にするのはPitmanにより発見された凝結・分裂双対性である.そこではやはり2パラメータPoisson-Dirichlet分布の下での作用素を考えることになるので,これまでの議論の発展可能性の試金石として,検討するに値するものと考えている.
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