研究課題/領域番号 |
22K03358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
服部 哲弥 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 教授 (10180902)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 確率論 / 数理科学 / 測度論 / 数理統計学 / 劣モジュラー集合関数 / 確率順位付け模型 |
研究開始時の研究の概要 |
測度論あるいは確率論は集合の大きさを数学的意味で精密に測る方法として複雑な集合へ適用範囲を急速に拡大してきた.一方,現実での応用の際にたとえば確率順位付け模型のような精密な測度の考えを適用するには,測定誤差の影響が避けられないため,正解の測度を1つ定めて先に進める数学的取り扱いだけではなく,誤差を考慮した扱いが,数理ファイナンスなどを含めて多くの応用数学で定式化されている.その数学的定式化として劣モジュラー集合関数などがあるが,そのような取り扱いで初めて見えてくる,測度だけでは必ずしも見えていなかった数学的性質を研究する.
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研究実績の概要 |
本研究は,確率順位付け模型と呼ぶ粒子系についての過去の関連する一連の科研費研究の成果を土台として,広く数理モデルに対するより良い数学的な理解を得るための基礎付けの研究を目指す.具体的な目的の1つとしてデータへのモデルの当てはめの論理に関連する非加法的測度を測度論の一般化という枠組みの中でとらえることを目指す. 過去の関連する科研費研究で発見した,オンラインストアの売り上げランキングなどの数理モデルとなる確率順位付け模型は.通常は現実の現象として観測できないような数学的抽象度の高い繊細な性質にも関わらず,くりこみ群の描像でいう普遍性によって実際に観測された.見方を変えると,個別の現実現象の特徴は普遍性の破れとして観測されるので,データによる検出は精密な解析を要する.数学的側面からその解析を整理するために,非加法的測度の測度論に立脚した枠組みを作りその中で精密な結果を探す. 本年度はこのような視点を一般社会に認知してもらうことと研究自体の準備を目指して統計学の基礎教科書を執筆し,粗稿の段階ながら初稿を完成した.関連する直前の科研費研究の最終年度から執筆を開始していたが,極めて難航していた.測度論に基づく数学としての確率論が成立してやっと1世紀のため,大学の初年級のいわゆる微分積分や線形代数に並ぶ水準の数学としての適切な確率・統計の範囲が定まっているとは言えないことが困難の大きな原因である.著作権が文化よりも経済的利益として扱われる時代を背景に,出版業界の著作の専門性や難しさに対する考え方の後退も見られ,出版までは紆余曲折が予想されるが,基礎事項を整理することで研究の土台が固まったと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究そのものだけでなく,研究の方向性が統計学の社会との関わりの困難にも接近接触しつつあるので,慎重に進める必要があり,また,応用と数学の切り分けを測度論という数学としては新しい分野で練り直す必要もあるので,見栄えのある結果に繋がるまでは時間がかかる.その中で,まだ出版までは出版社編集部との交渉という大きな困難が待ち構えているとは言え,基礎教科書の粗稿が完成したことで次の困難に向かうための土台ができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の目標どおり,非加法的測度についての数学的研究を再開し,できるだけ基礎的なところまで戻って測度論に基づく非加法的測度の基礎付けを整理し,これまで調べられてこなかった論点の有無を確認する.
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