研究課題/領域番号 |
22K03359
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坂川 博宣 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (60348810)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 相分離界面 / 確率場 / 漸近挙動 / Gibbs測度 |
研究開始時の研究の概要 |
統計力学における重要な問題の一つとして,例えば0度における水と氷といったように同一の温度で物質が二つ以上の異なる状態を取り得るという相転移の問題が挙げられる.相転移に伴って複数の相を分離する境界面,いわゆる界面が現れるが,平衡系においてこれは一般にGibbs確率場として定式化される.本研究ではこのような相分離界面や膜に関連したいくつかの長距離相関を持つ確率場を取り上げ,その漸近挙動に関する研究を通して界面・膜に関する物理現象の数学的な解析を目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,物質の相転移によって現れる相分離界面や膜の確率モデルの漸近挙動に関する研究を通して界面・膜に関する物理現象の数学的な解析を目指すことにあった。2022年度からの研究では相分離界面の確率モデルの一つであるGinzburg-Landau∇φモデルにおいて、外場として各点で独立同分布に従う確率変数を化学ポテンシャルとして加えたランダムなGibbs測度を考え、その下で界面が常に正となる事象、いわゆるエントロピー的反発の問題について研究を行っていた。2023年度の研究ではその中でも特に相互作用ポテンシャルが2次関数の場合に対応する格子上のGauss自由場に対し詳細な解析を進め、高次元の場合にランダムなGibbs測度の下での場の最大値の主要項を精密に特徴付け、外場の確率変数の末尾確率の振る舞いによってその漸近挙動が大きく変化することを示した。格子上のGauss自由場における極値の研究は2000年代初頭以降現在までに、最大値の漸近挙動やそのスケール局限などについて多くの確率論研究者によって非常に活発に行われている問題である。また、∇φモデルでランダムな化学ポテンシャルを加えた場合の場の振る舞いについては、2000年代後半から研究がなされ、Dario-Harel-Peled(2023)によって場の揺動の詳細な評価が示されるなど最近大きく進展している。一方で、ランダムな外場を加えた下での場の最大値についてはこれまでに研究されておらず、得られた結果は新規性のあるものであり、現在は論文を投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相分離の界面モデルの一つである格子上のGauss自由場に対し、外場として各点で独立同分布に従う確率変数を化学ポテンシャルとして加えたランダムなGibbs測度を考え、その下での場の最大値に関する精密な評価を得ることができ、論文投稿まで進めることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き確率界面モデルの漸近挙動に関する解析を進める。特に,研究対象としているGinzburg-Landau∇φモデルで相互作用ポテンシャルの仮定を弱めた場合の研究などが最近急速に進展しており、これまでの研究で得られた相互作用ポテンシャルが2次関数の場合の結果の拡張のためにそこで用いられている解析的な手法が有効でないか検討したい.
|