研究課題/領域番号 |
22K03367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐々木 浩宣 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (00568496)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 逆散乱問題 / シュレーディンガー方程式 / 散乱作用素 / 散乱の逆問題 / クライン・ゴルドン方程式 / 非線型分散型方程式 / 解の漸近挙動 / 関数空間 |
研究開始時の研究の概要 |
非線型分散型方程式(NLDEQ)は非線型波動を記述する偏微分方程式の総称として知られており、諸分野に於ける重要なモデルである。「NLDEQの解が、自由方程式(非線型項が無い方程式)の解とどれだけ差異があるか」を測る指標のひとつが散乱作用素Sである。 本研究では、NLDEQの非線型項の性質・構造が、Sにどのような影響を与えているのか、多角的考察(順問題・逆問題・関数空間論など)によって解明していく。
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研究実績の概要 |
令和5年度は主に、空間2次元の非線型シュレディンガー方程式における散乱の逆問題について研究した。ここで、「方程式の非線型項N(u)は(uに関して)滑らかであり、幾つかの設定がなされているが、詳細な情報・形状は未知である」と仮定している。 (目標)散乱作用素の情報が既知であるとしたときに、その情報を利用して未知なるNを同定すること。特に、Nの性質(例えば原点におけるウィルティンガー微分係数など)に関する再構成公式を作成すること。 (背景)N(u)がかなり具体的に与えられていて、未知な情報が極僅かである場合は、幾つかの結果が知られている。その場合、「小振幅極限」が有効である。「小振幅極限」はいわば散乱作用素の1次近似に相当するもので、様々な散乱の逆問題に利用されている一方、今回の設定では、未知な情報が非常に多く、「小振幅極限」だけではNの同定には程遠い状況となる。従って、新たな手法を確立する必要がる。 (主結果)今年度は、散乱作用素のn次近似に相当する評価式を証明し、それを利用することで、「Nの(原点に於ける)n次(ウィルティンガー)微分係数を一意に再構成する公式」を確立した。なお、この公式は、n次未満の微分係数が未知であっても適用可能となる。 (応用例)「Nが多項式であることが分かっている場合」であれば、当該公式を用いることでNそのものを一意に再構成することが証明される。 これらの結果は学術論文として纏められ、査読付き国際学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第2年度としておおむね順調に進展していると言える。 当初の計画においては、【NLS、NLKGと非線型ディラック方程式(NLD)の散乱問題を考察する。更に研究に関連する関数空間の考察も行う。】というテーマを設定した。上部の「研究業績の概要において」記載した結果は、このテーマと大いに関連があり、本来の目的達成に大きく寄与する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で得られている主結果及びそれを得るに至る手法を応用・修正することで、更に深い諸性質を明らかにしていく。その際に関数解析学(フーリエ解析、バナッハ空間の補間空間論、自己共役作用素のスペクトル理論、リーマン幾何学など)の深い洞察が必要となるので、周辺分野の研究も適時行う。また考察を補助的に支えるシミュレーションについても随時実行する。横断的な研究になるので、それぞれの専門家との議論を活発に行う。
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