研究課題/領域番号 |
22K03385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡部 考宏 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (00626872)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非圧縮ナビエ・ストークス方程式 / Helmholtz-Weyl分解 / ナビエ・ストークス方程式 / エネルギー減衰 / 漸近解析 / 重み付き評価 / ハーディー空間 |
研究開始時の研究の概要 |
非圧縮粘性流体の運動を記述するナビエ・ストークス方程式の解の長時間挙動を、運動エネルギーの時間減衰を軸に考察する。一般に、エネルギー減衰の数学解析では、非線形項の制御が鍵となる。本研究では、外力の作用によって、非線形項を制御し、減衰の遅い成分を消滅させることで、エネルギーの時間減衰を速くすることを目標とする。
具体的には、(i) 外力による大きな乱流解(弱解)のエネルギー減衰の制御とその解析手法の確立、(ii) 外力による解の高次漸近系の制御、(iii) 電場、磁場、温度等が流体に及ぼす相互作用の解明の観点から研究を行う。
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研究実績の概要 |
3次元の滑らかな有界領域が時間に応じて変化する状況下における、Helmholtz-Weyl分解の領域依存性について解析を行い、その応用として非斉次境界条件下における非圧縮Navier-Stokes方程式の時間周期解の構成を行った。 滑らかな有界領域において、ソレノイダルベクトル場は、渦なしの調和ベクトル場と回転のベクトル場とに分解されることが知られており、近年ではKozono-Yanagisawa(2009)により境界条件を加味したL^r空間での分解定理が得られている。また、この分解定理は、非斉次な境界条件を課した非圧縮Navier-Stokes方程式の定常及び時間周期問題に対して有効であることが知られている。一方、領域が時間によって動く場合には、Helmholtz-Weyl分解の領域依存性が課題となる。 分解定理における調和ベクトル及びベクトルポテンシャルは、ある楕円型方程式系にしたがっていることに着目すると、分解定理の領域依存性の問題は、本質的に楕円型方程式系の解の領域依存性、パラメータ依存性の問題へと帰着される。この方面の解析については、Hadamard変分公式の解析におけるアプリオリ評価を用いたFujiwara-Ozawa(1978)の手法が有効であり、実際、調和ベクトル場の解析に適用できる。しかし、ベクトルポテンシャルが満たす方程式系は、非自明なNull spaceを持つため、上記の手法は適用することができない。このため、新しい手法を確立し、ベクトルポテンシャルの領域依存性を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間依存領域におけるHelmholtz-Weyl分解の領域依存性の解明について成果を得ることができ、その応用として、非圧縮Navier-Stokes方程式の時間周期問題についての知見を得ることができた。本研究では、時間依存領域における流体の数学解析に対しての土台をあたることができたことは意義深いものと言える。
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今後の研究の推進方策 |
Helmholtz-Weyl分解の領域依存性の問題について、データの正則性や境界条件の観点からより詳細な解析をおこなっていく。また分解定理の非圧縮粘性流体の数理解析への応用を試みる。
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