• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

符号付き超離散系の基礎理論構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K03407
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分12030:数学基礎関連
研究機関法政大学

研究代表者

礒島 伸  法政大学, 理工学部, 教授 (90422394)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
キーワード超離散方程式 / セルオートマトン / 非線形系 / 可積分系 / 相平面解析 / リヤプノフ関数 / 離散モデル
研究開始時の研究の概要

現象に対する数理モデルにおいて連続系と離散系を対応づける手法として,解が正値な差分方程式を区分線形方程式で近似する「超離散(UD)化」が研究されてきた.研究代表者は解の正値性が不要な拡張として「符号付き超離散(pUD)化」を共同提案し,複数の適用例を報告してきた.
本研究ではpUD方程式の具体例を通して,解の表現方法の確立,無限分岐を含む解の由来の解明のほか,元になる差分方程式の選定について知見を得て「符号付き超離散系の解析理論構築」に対する解答を目指す.
本研究は,より広い対象への超離散解析を可能にし,連続と離散をつなぐ研究に新たな発見をもたらし,関連分野への応用の契機となることが期待される.

研究実績の概要

本研究は「符号付き超離散(pUD)系の解析理論構築」を目指すものである.2023年度は,当初計画から先行して取り組んでいた「相平面上でのある領域を別の領域へ写す写像と『粗視化して』解釈する」方法の研究を推進した.具体例として超離散非線形バネ方程式を扱い,すでに大部分の結果を論文として発表しているが,除外していた一部の複雑なケースも取りまとめ,研究集会の査読付き講究録にて発表した.この成果により,本研究テーマの目的の1つである「符号付き超離散系の解の適切な表記方法」の研究は大きな進展を得たと言える.
また,当初計画では2024年度に予定していた「採用する差分スキームによって符号付き超離散系に生じる差異」の研究についても着手した.具体的には,上記でも紹介した非線形バネ方程式について,よく知られた中心差分による単純な差分スキームを採用し,対応する符号付き超離散系を構成,解析した.バネの周期振動に対応する数値解を,この単純なスキームによって得るためには,差分間隔や計算回数に注意して慎重に計算を行う必要があり,可積分と主張することは難しいスキームである.対応する符号付き超離散系においても,多くの初期値に対して解が発散する一方で,限られた領域の初期値では有界な解が得られることも分かった.この結果と,論文として発表済みである可積分差分スキームを採用した場合との比較検討を行い,得られた知見を論文としてまとめ,発表する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「符号付き超離散(pUD)系の解析理論構築」に向けて,研究は概ね順調に進展しているといえる.その理由は次の成果による.
pUD系の「相平面上でのある領域を別の領域へ写す写像と『粗視化して』解釈する」方法については共同研究により進展しつつある.具体例として扱っている超離散非線形バネ方程式に関して,既に発表した論文には記載していなかった複雑なケースに対する分析を取りまとめて研究集会の査読付き講究録にて発表した.この成果により,前提となる差分スキームを変更したときの影響の分析を含めた,計算例の蓄積および一般化に向けた研究を推進する基礎が整ったといえる.実際に,単純な差分スキームを採用した場合の超離散非線形バネ方程式の解析を進めている.
このように,研究実施計画において予定していた研究内容を,大学院生との共同研究も交えてやや進んだ進度で進めることができているため,進捗状況はおおむね順調といえる.

今後の研究の推進方策

「符号付き超離散(pUD)系の解析理論構築」に向けて「相平面上でのある領域を別の領域へ写す写像と『粗視化して』解釈する」手法の研究をさらに推進する.
具体的には,可積分とは限らない方程式も対象として,さまざまな系にこの手法を適用し,手法の普遍性を検証するとともに新たな課題点の発見に努める.とくに,採用する差分スキームによって,同一の微分方程式から構成されるpUD系の性質が異なる問題について,さらに具体例を蓄積していく.例えば,数値計算において単純な差分法よりも高精度とされているスキームに対して,本手法による分析を行うことを想定している.さらに,整理されつつある解の表現方法を応用し,符号付き超離散化を通して元の系に対して得られる知見についても検討していく.これらの研究は,研究補助員1名を雇用し,より強力に推進していく予定である.
また,さらなる応用への準備として,時間単調性以外の性質にも着目した差分系リヤプノフ関数の構成の試みや,ソリトン理論の超離散化に向けた行列式の研究などにも着手できるよう計画していく.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Phase plane analysis for p-ultradiscrete system : infinite types of branching conditions2023

    • 著者名/発表者名
      ISOJIMA, Shin; SUZUKI, Seiichiro
    • 雑誌名

      数理解析研究所講究録別冊

      巻: B94 ページ: 65-83

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Ultradiscrete hard-spring equation and its phase plane analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Isojima Shin、Suzuki Seiichiro
    • 雑誌名

      Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics

      巻: - 号: 2 ページ: 1083-1105

    • DOI

      10.1007/s13160-023-00568-9

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Indeterminate solutions of the p-ultradiscrete equation and leading term analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Isojima Shin
    • 雑誌名

      Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics

      巻: - 号: 2 ページ: 1341-1353

    • DOI

      10.1007/s13160-023-00587-6

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ultradiscrete analogue of the van der Pol equation2022

    • 著者名/発表者名
      Isojima Shin、Suzuki Seiichiro
    • 雑誌名

      Nonlinearity

      巻: 35 号: 3 ページ: 1468-1484

    • DOI

      10.1088/1361-6544/ac4a8c

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] A discrete logarithmic function and Lyapunov function2022

    • 著者名/発表者名
      Isojima Shin、Suzuki Seiichiro
    • 雑誌名

      JSIAM Letters

      巻: 14 号: 0 ページ: 139-142

    • DOI

      10.14495/jsiaml.14.139

    • ISSN
      1883-0609, 1883-0617
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 中心差分に基づく符号付き超離散非線形バネ方程式の解析2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木清一朗,礒島伸
    • 学会等名
      研究集会「非線形波動から可積分系へ2023」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 遷移図による符号付き超離散系の解析2022

    • 著者名/発表者名
      礒島伸
    • 学会等名
      RIMS共同研究(公開型)「可積分系数理の発展と応用」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 離散対数関数とリャプノフ関数について2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 清一朗,礒島 伸
    • 学会等名
      日本応用数理学会 2022年度年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi