研究課題/領域番号 |
22K03415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
原本 博史 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (40511324)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 擬似乱数 / 並列計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、具体的に以下の3点について研究を行う予定である。 1. 著名な分子動力学シミュレータLAMMPS (Large-scale Atomic/Molecular Massively Parallel Simulator) に関する高速ジャンプ計算を実装する。 2. 擬似乱数の検定ツールTestU01に関して適切な二重検定を導入することで、現在の計算機能力に見合うサンプルサイズを実現する。 3. Vignaによる擬似乱数生成法xorshift128+の系列に属する擬似乱数生成法の欠陥を、体系的に棄却する検定方法を発見、および数学的な解析を行う。
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研究実績の概要 |
1. 128ビット程度のメモリ使用量を想定した64ビット出力の擬似乱数生成法のうち、並列計算環境に適した生成法の開発に取り組んだ。主たる方針は、ラグ付きフィボナッチ生成法やMultiple Recursive Generator(MRG)などの既存の生成法に非線形の出力変換を加えることで、現在のシミュレーション規模に耐えうる統計的品質を保証するという方針で設計を行った。現在、パラメータを十分に複雑に選べば、擬似乱数生成法の統計的検定の標準手法であるTestU01のBigCrushにほぼ合格すること、同じJavaScriptなどの標準擬似乱数として採用されている生成法xorshift128+とその類型生成法、NumPyで採用されている生成法Permuted congruential generator(PCG)と同程度の生成速度を達成していること、それらに比べて異なる数列を生成させるためのパラメータ化が容易であることが実験的にわかっている。他方、高速化に関して実装上の最適化についてはまだ未着手であり、特にSIMD命令などとの関連を調べる必要が生じている。 2. MRGのうち項数が少ない生成法について、符号理論に現れるMacWilliams恒等式を用いて特定のビットの0-1分布を正確に求める研究を行なった。これまで3項の場合についてハミング重みの小さい項による近似多項式によってカイ二乗ディスクレパンシーを近似したものを研究していたが、今年度は5, 7, 9, 11項のものを中心に研究を行なった。これらに対してもハミング重みの小さい項によるカイ二乗ディスクレパンシーの計算は近似精度が悪くなり、3項の場合と異なる現象が観察された。一方で項数に応じて耐えうるシミュレーションサイズの増大傾向が項数に比例する傾向が観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
購入予定であった計算機の価格が申請当初よりも高騰したため性能を落とす必要が生じたことと、供給不足によって入手が不可能なものもあったことなどが重なり、実験環境を十分に整えることができなかった。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、参加予定であった乱数・準乱数関連の国際会議への参加も不可能となったため、情報収集が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度の研究を継続し、小さいメモリ空間を想定した擬似乱数生成法の研究を継続する。特にパラメータの選定に当たっては、次状態関数の漸化式に現れる係数のハミング重みに注目して、適切なパラメータを選択する数学的な手法を研究する。また、シミュレーションや統計的検定を実施して性能評価を行う。 Xorshift128+やPCGでは、並列計算にはジャンプ技法を援用した数列生成を行なっている。並列度が大きくなるとジャンプ計算自体の計算時間が無視できなくなるため、開発中の生成法においてもジャンプ計算を実装して比較を行う予定である。ここではNumber Theory Libraryを利用して可能な限り高速化された環境での実装を目指す予定である。
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