研究課題/領域番号 |
22K03426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | サレジオ工業高等専門学校 |
研究代表者 |
須志田 隆道 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00751158)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | フェーズフィールドモデル / バーテックスモデル / 数値シミュレーション / 並列分散処理 / 最適点配置問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では細胞集団の形態形成を理解するための数理的枠組みとして、エネルギー最適化問題として定式化される細胞運動のフェーズフィールドモデルおよび組織変形のバーテックスモデルを新たに構築し、生物学における未解明の現象について、その仕組みを明らかにする研究を展開する。さらに、葉序の形態形成モデルとして、組織内に分布する化学物質を表現する反応拡散方程式とバーテックスモデルを組み合わせたものを新たに構築し、大多数の葉序が黄金比で記述されることを微視的な観点から数理的に探求する。最後に、葉序の巨視的な問題の1つである最適点配置問題において、回転角が黄金角に収束することの数学的な証明を与える研究に取り組む。
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研究実績の概要 |
今年度は第一に、前田楓太氏(慶應義塾大学)との共同研究として進めている細胞性粘菌が形成するマウンドやショウジョウバエの卵などに見られる集団細胞運動を伴う多細胞組織の形態形成を理解するために構築した三次元フェーズフィールドモデルについて、これまでに導入したエネルギー汎関数と走化性の反応拡散方程式モデルを再検討し、昨年度に報告した成果と同様の数値シミュレーション結果が得られることを確認した。さらに、ショウジョウバエの複眼で観察されているような組織を覆う基底膜の変形に伴う個々の細胞変形を議論するためのフェーズフィールドモデルを構築し、組織伸展による力が与える細胞への影響を調査する研究を進めている。第二に、河西通氏(東京工業大学)との共同研究として進めているゼブラフィッシュの正中軸組織の伸長現象における集団細胞運動と細胞分裂の関係を説明するためのバーテックスモデルの研究では、notochord細胞とfloor plate細胞の相互作用を導入した正中軸組織の新しいモデルを構築した。さらに、ゼブラフィッシュの体節形成を解明するために、実験データ解析手法の構築とその解析を行い、三次元モデルを用いた検証を行った。最後に、階層的な構造を形成している網膜神経細胞群から本質的な機能を抽出した反応拡散方程式モデルの研究を行い、神経生理学分野の実験観察で報告されている神経節細胞の時空間受容野パターンが形成されるためには、抑制(制御)機能の応答速度(時定数)が重要であるということを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多細胞組織の形態形成を理解するための三次元フェーズフィールドモデルに関しては、昨年度に導入したエネルギー関数と走化性の反応拡散方程式モデルの再検討を行い、これまでの成果を含めて、応用数理国際会議(ICIAM2023)にて報告した。多細胞組織を覆う基底膜の変形に伴う個々の細胞形状の変形シミュレーションに関しては、フェーズフィールドモデルを用いて、基底膜を伸展させるパラメータと個々の細胞における接着力のパラメータなど、現象を起こす主要因と考えられるパラメータの探索を行い、生体内で観察されている特徴的な幾何学的パターンがロバストに得られるための条件の導出を進めている。ゼブラフィッシュの正中軸組織の組織伸長を理解するためのバーテックスモデルに関しては、研究成果をまとめた論文を執筆した。ゼブラフィッシュの体節形成を理解するためのデータ解析および三次元モデルの検証に関しても、研究成果をまとめた論文を執筆し、現在投稿中である。網膜神経細胞を基盤とする反応拡散方程式モデルに関しては、得られた研究成果をまとめた論文が数理視覚系国際誌(JMIV)にて出版された。次に網膜神経細胞が発揮する効果の空間的な性質に着目したモデルを構築し、得られた成果をまとめた論文が現在査読中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は多細胞組織の形態形成に関するフェーズフィールドモデルの研究成果の論文執筆を行うための研究を推進する。特に、大規模なパラメータ探索が必要になることが想定されるため、GPGPUを用いるための数値計算アルゴリズムの実装や計算機群の増設などを行い、さらに高速な数値シミュレーションを実行する環境を整備する予定である。さらに、ショウジョウバエの後腸捻転現象を理解するための研究として、共同研究者の松野健治氏(大阪大学)と連携を図りながら、実験データ手法の開発とその解析および三次元バーテックスモデルの構築と数値シミュレーションによる検証までの一連の研究を推進し、成果をまとめた論文を執筆する予定である。
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